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銀の夢 
白銀姫と七人の野獣(童話パロ♀銀)
元童話パロにあったもの





むかーし、むかーし、ある所に白銀姫と言う美しい姫がおりました。

透けるような白い肌に、美しい体の線。ルビーのような紅い瞳は吸い込まれるように綺麗で、唇はぷっくりとしたピンク色。

そのうえ、綺麗にキラキラ光る腰までの伸びるフアフアの銀髪。

誰しもが、そんな美しい天使のような姫に恋心を抱き、夢中になります。
しかし、それをよく思わないのが、その姫の義母。女王様でした。

女王は姫を召使いのように毎日こき使っては、虐めていました。

姫は、それに耐えながらも、懸命に生きていました。





***


とある一室。暗い暗い部屋の中
、女王がいつもの様に鏡に問いかけます。

「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのはだぁれ?」


『それは、勿論、白銀姫でございます。』

平然とした様子で、白銀姫と答えた鏡に女王は愕然としました。
何故なら鏡は今までは『貴方です。』
と答えてきたのを、『白銀姫』と答えたからです。

「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのはだぁれ?」

女王は鏡が間違えたのかと、もう一度問いました。
しかし、

『それは、勿論、白銀姫でございます。』

返ってきたのは、同じ答えでした。
女王はブルブルと震えると、大声で家臣を呼びました。

「何用でございましょうか?」

跪く家臣に、女王は冷たく言いました。

「白銀姫を、いえ、銀時を殺しておしまいなさい。」

「な、なんと?」

驚く家臣。
そんな家臣に女王は金切り声で言いました。

「白銀姫を殺せって言ってんのよ!
私より、美しい者などいらないわ!」

怒り狂う女王に怯えながら、家臣はかしこまりました。と答えるとそそくさと部屋を出ていきました。


「これで、この世で最も美しいのは私だけになるわぁ!」

そう言って女王はニヤリと悪い笑みを浮かべたのでした。




女王から姫を殺せ!と言われた家臣は悩んでいました。
あんなに、美しい姫を殺すなんてできない。
でも、殺さなければ自分の命が危ない。

家臣は悩みに悩みました。


覚悟を決めた家臣は姫を花畑へと連れ出しました。

「わぁ、綺麗な場所!」


姫はそう笑うと花を摘み始めます。
その後ろに、家臣はスッと近寄り、ナイフを手に腕を振り上げました。

しかし…

カランッ

「うっぅぅッ!!!!」

家臣はナイフを落としました。
やっぱり殺す事なんて出来ない!

急に泣き崩れた家臣に、姫は驚きました。

「どうしたの?大丈夫かよ!」

と優しく彼に駆け寄り、声をかけました。


「ああ、ああ。申し訳ない姫様!今、私はとんでもないことをしようとしていました。」

「うん?」

「どうか、どうか。お許しください。そしてどうかここからお逃げください。あの悪い女王が姫様を殺そうとお考えなのです!もう、私には貴女を逃がすことしかできません。さぁ、はやく!」

そう言って急かす家臣に白銀姫は眉をよせた。


「でも、そしたらお前が…」


「私のことはいいのです!さぁ、姫様!私の最期の願いを聞き入れてはくれませんか!」



懇願し祈りのポーズをとった家臣。


その姿に、白銀姫は大きく首を振ると、

「…有り難う。」

と言葉を残し、森の中に身を隠していった。
家臣は、その姿を見えなくなるまで見つめる。

「…私も愛しておりました。」

ポツリと彼女に向けてこぼす。その呟きは、けして届いてはいないだろう。
そして、それは一生。伝えることは叶わない。
ハラリと一粒の涙をこぼした。


そう彼も、白銀姫の虜だったのです。



彼は、こぼれた涙をぬぐうと、きりと気持ちを切り替える。

さぁ、これから恐ろしい女王に豚の心臓を届けにいかねば。

そう
力強く一歩を踏み出した。







**
元、童話パロにあったのを、繋げて少し改変したものです。
更新ができなそうだったんで、こちらに移動させました。てへ。

前、中、後になるんじゃないかと思います。



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あきゅろす。
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