[携帯モード] [URL送信]
落としものなあに?






前が曇ってよく見えない、なんて呟いてももう遅かった。オレの手に煙草は今は握られていないし、当たり前だが霧も出ていない。オレの目が悪くなっただけかな。
あの場所に戻って探してみても見つからないし、どうしたもんかと思う。あれがなきゃ、オレは。そう思いながらまた帰路についた。その時にまたアレが恋しくて。今アスマがここにいたら、きっとすぐに探し出してくれるんだろうけど、残念ながらもうあの人は雲の上、煙になってしまった。

何処かに置いたのかもしれない、そう思って部屋をひっくり返してみたけど、見つからなかった。片付けはまた今度、でも母ちゃんがまた怒鳴るから、近々ということにしておく。やはりオレは目が悪くなったのかな、机の上に飾った写真に誰が写っているのかも見えなくなってしまった。でも別に、困らないからいいや。




次の日もまた探しにいった。道端に落としたのかも、と地面をキョロキョロしていたら、後ろから声がした。


「探しモノか?手伝うぜ?」


ありがとう、でも気持ちだけにしておくよ。これはお前の鼻がきくとか、そういう域じゃないんだよなぁ、オレでさえ見えないんだもの。きっと匂いもないよ。
ばかなオレ、隣に居てもらうだけで、もしかしたら見つかるかもしれないのにさ。そんなにあの人に固執してどーすんだろーな。そんなんだから見つからないんだよ。今声をかけてきたのが、アスマだったらいいのに。なんて思ったオレに自己嫌悪。バカじゃね、バーカバーカ。

また視界がぼやけてきた。あの日のように、雨が降ったらいいのに。そしたら、ぬかるんだ土の下から出てくるかもしれない。でもそれは叶わなかった。あの日からもう三年近く経つから、空はきっと雨を降らすタイミングを忘れてしまったんだ。そしてみんなも、今日が何の日か、忘れてしまったんだろうなぁ。みんなオレが今なんで泣いてるか、分かんないんだろうなぁ。

















(落としものなぁに?)(オレのこころ)
■□■□■□■□■□■

シカマルはアスマが大好きなんだぜ。
アスマ誕生日おめでとう!



あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!