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Novel
組頭の甘え方(部下雑)


「私はそんなに良いものじゃないよ、」

そう呟いた組頭に俺は包帯を巻く手を止めてちらりと視線を向ける。

「……。」

「…何だい?」

「…いや、」

所詮私がこの人に口で勝てる訳は無いと思うのだけれど、
棘のある言葉とは裏腹にうとりとした表情で自分の爛れた皮膚を眺める組頭に、思わず口を挟まずにはいられなかった私はまだまだ子供なんだろう。

「だって見てごらんよ、この肌と目。焼け爛れて朽ち果てたこんな私は、お前から好かれるような外見はしていないのに、可笑しいなぁ、お前は私を好きだと言う。私は私のどこが良いのか全くわからないのに。」

「……組頭は、」

「分かっていると思うけど、私はお前に私の良い所を並べて欲しいわけじゃないよ」

「う、」

「ちなみに、そんな私でも好きだと愛を囁いて欲しい訳でもない」

そう言って組頭はクスクスと笑った。
ああもうこの人は本当に私を困らせるのが好きらしい。

「組頭、」

何年も前の古い傷から最近出来た新しいもの、爛れた火傷の跡のような物から切り傷のようにザックリいったらしい物まで、組頭の体は傷で覆われている。だから私はよく、今しているようにこんな夜中に呼び出されて包帯を巻くと言う作業をさせられるのだけど逆を言えば組頭は私にしか身体的な意味で本当の姿を曝していないのではないだろうか。私の知る限りでは。
まあ本当のところ、私の前で組頭が精神的な意味では勿論、今のような身体的な意味でさえ全てを曝け出しているかどうかは私には分からないし、この組頭のことだから素知らぬふりをしていてまだ私の知らないことが沢山あるのだろうとは思うけれど。

「…、出来ましたよ」

そう言ってそれを確認するように包帯の端にきゅ、と力を入れて解けてしまわないか確かめる。すると組頭は少し間を開けて有り難う、と呟いてまた包帯の下でクスリと笑った。

「…組頭、」

「なんだい?」

「、甘えたいならそう言って下さい」

「…わかってないなあお前も。それを理解するのが部下の役目だろうに」

組頭は遠回しすぎです、と呟きながら自分よりほんの少し大きな彼を抱き寄せれば、もう慣れたでしょうと首に腕が回って、嬉しそうな声が返ってきた。


(大体、私がお前に愛して欲しいなんて言うと思うかい?)
(………まさか。)







なんだこの駄文orz
部下雑の微妙な会話のテンポが好きだ^q^




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あきゅろす。
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