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逆転裁判&検事 小説
歯車の始動(成歩堂・独白)



逆転裁判4より

――――――――――




僕の人生の大きな分岐点
となった運命の日から
二週間経った



最初の一週間こそ
後始末やみぬきちゃんの
親権などやる事が
山積みだったのだが
徐々にそれも
片付いていき
現在"無職"という現実に
直面している

つまり暇なのだ、とても


「パパ、みぬき
そろそろビビルバーに
行ってくるね
チャーリー先輩に
水あげすぎちゃ駄目だよ
あと、求人雑誌は
机の上だから
夕御飯までには
帰ってくるねっ!」

あの歳にしては
しっかりし過ぎている
ムスメのみぬきは
そう言い残し数時間前に
事務所を出ていった

適応能力の高さに
驚くばかりだ
(パパ呼びしかり
貧乏生活しかり)

かつて弁護の依頼が
ひっきりなしに来ていた
成歩堂法律事務所は
みぬきちゃんによって
在籍二人の
(大魔術師と特技・弁護)
何とも見るからに
泥舟の
成歩堂芸能事務所に
進化(退化?)した

ただ僕にはもう
反対出来る要素など
一つもなかった

無職の大人の俺を
養っているのは
みぬきちゃんだから
…考えていて虚しく
なってきたぞ

目尻に溜まりそうに
なったものを何とか
戻しソファーに寝転がって
いた体を起こす

徐に取った求人雑誌は
三日前から隅々
読み耽ったため
ほぼ暗記ずみ
……暗記するだけで
一向に職は
見付からないのだが

昔のツテを
当たれば職など直ぐに
見付かる…はず
でもそうしないのは
僕には何さておいても
やるべき事がある


正直二週間経った今でも
ぼんやりとしている
自分がいる

あまりにも突然に
俺の人生は真っ暗に
なった
普通ならば嘆き
現実逃避を
するのだろうか


未だぼんやりしている
中でも僕がこれを
現実として受け止め
られるのはきっと
みぬきちゃんのお陰だ


あの子は強い
でも僕は知っている
あの子の脆い部分を


だから支えるんだ

僕が支えてもらって
いるように



そのためにもこの事件の
大きく深い闇を
全て白昼の元に曝す…!



固い決意を胸に秘め
立ち上がるが
その拍子に求人雑誌が
音をたてて落ちる

……ボルハチ?

背表紙の右はじに
小さく書かれた求人
どうやら
見落としていた様だ

拾い上げながら
読むが詳細は
一切書かれておらず
電話番号だけが
寂しく添えられていた

怪しいな…と頭の片隅で
思いつつも長年
培った勘だろうか
惹かれるものを覚え
気付けば携帯を
手にしていた


手掛かりが何もない
今じゃどうしようもない
取り敢えず遠くより
近くを見るか…

そんな事を考えつつ
コール音を聞き流した







―…まさかこのボルハチで
七年後
止まった歯車が
動き出すとは
思いもしなかった…――




end






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あきゅろす。
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