[携帯モード] [URL送信]

×小説
9.苦戦×謎



 「隊長…お怪我の方は」

 「問題ない、腕は動く」

 「一角さん!怪我
 見せて下さいよ!」

 「こんなの怪我の内に
 入らねぇ!」

 「止めな阿散井副隊長
 一角はあぁいいだしたら
 聞かないから」


 ところ変わって
 空座町・東の森奥
 何年も使われていないのか
 風が吹き込むたびに
 扉が揺れるボロ小屋にて
 ルキアを除く
 日番谷先遣隊は
 束の間の休息を
 とっていた

 小屋に身を寄せる様に
 なったのは僅か数分前

 学校を出た一行だが
 直ぐに東の森に
 虚反応が

 向かうが案の定
 霊圧を消せる厄介な虚で
 苦戦をしていた
 空間凍結を技術開発局に
 頼んだが途中で霊破障害
 起き伝令神機が
 使えず限定解除を
 する訳にはいかなくなった
 益々苦戦する中
 途中でルキアから連絡が
 きたがまともに
 答えられはしなかった

 このままでは…と考えた
 日番谷は霊圧をギリギリにまで
 高め始解をして
 何とか虚を一掃したものの
 無理な調節とそれまでの
 傷で倒れてしまった

 乱菊らも傷を負っていたが
 日番谷を運びこの小屋を
 見つけたのである


 「日番谷隊長、本当に
 平気ッスか?
 顔色が悪い様に見えます…」

 「…少し休めば、治る」

 「駄目ですよ!少し
 じゃなくて、しばらく
 です!」

 「虚は一旦退きましたし
 僕達は比較的軽症なので
 また来ても日番谷隊長は
 小屋から出ないで
 下さい」

 「弱ってんのは格好の的
 ッスからね」

 一角に正論を言われ
 大丈夫と言おうとした
 口を閉ざす日番谷

 「それはそうと
 あの虚達なんなの?
 雑魚が大半だけど
 霊圧を消せるような
 中級とかも居て
 面倒ったらありゃ
 しないわね」

 「数も異常だ」

 「まるでここに
 町中の虚が集まってる
 みたいだね」

 弓親が呟いた言葉に
 シンとなる室内
 皆 考えるのは
 同じのようだ

 ――反逆の徒・
 藍染惣右助

 「…そうなると
 ルキア達が…」

 恋次が思い出した
 様に言う

 未だに高嶺清麿を
 疑っている日番谷達は
 監視役の一護とルキア
 を思い眉間に皺を寄せる

 「…あたしは
 あの子、悪い子とは
 思えないんだけどな〜」

 「私情を挟むな、松本
 高嶺清麿の登場
 虚の集まり方
 不可思議な霊破障害
 …何か関係があると
 俺は睨んでいる」

 「……」

 「そうなると、一護達
 危なくないですか…?」

 「彼奴ら弱くねぇが
 不安要素はある
 …松本、頼めるか」

 目で語る日番谷に
 乱菊は真顔になり頷く
 あっという間に瞬歩で
 移動し乱菊が居た
 ところには木の葉が
 舞った
 2人の間にも言葉は
 いらないのだ

 「日番谷隊長、俺らは…」

 「まだ近くに虚がいる
 可能性が高い
 悪いが俺は今
 足手まといだ…頼む」

 「はっ!」

 「りょぉかぁい!!」

 「行ってきます」

 意気込んだ一角が
 一番に消え続いて
 弓親、恋次と出ていった

















 『シニガミ…!』


 壁を背に体力温存のため
 睡眠をとっていた
 日番谷の耳元で殺気の
 こもった不気味な声が
 囁かれた

 咄嗟に真横に飛び
 既に抜いた刀で横を
 突き刺す

 しかし貫いたのは
 木箱で腐っていたのか
 貫いたせいでバラバラと
 音をたてて崩れた

 「…」

 まだ感じる殺気に
 刀を握り直し何処から
 来ても隙を見せないよう
 神経を張りつめた
 だが分が悪いのは日番谷
 霊圧はまだ回復して
 おらずいつもの
 半分以下だ

 不安を煽るように
 相手はただ殺気を
 放っているだけで
 姿すら見えない

 ふっと息を吐いた時に
 後ろから背筋がゾッと
 するほどの殺気が
 襲った

 『…デ…ス…!!』

 白い光の様な攻撃が
 日番谷に向かう
 その際に途切れ途切れに
 言葉が聞こえた
 気がしたが
 今は気にする余裕がない

 刀に受け止めようと
 するが直感的に
 受けては駄目だと思い
 ギリギリで横に転がる

 「ッ…な!?」

 直ぐに立ち上がった
 日番谷だったが
 目の前の光景に
 愕然とした

 光が当たった場所は
 まるで最初から
 なかったように
 綺麗に消滅していた

 地面は抉られたという
 表現より切り取った
 という方が正しい
 小屋は勿論跡形も
 なかった

 あれを受けていたら…
 と想像し柄にもなく
 冷や汗を流す日番谷

 するとさっきの声が
 また響いた

 『…ヨク、ヨケタナ シニガミ』

 「…誰だ」

 冷静に返す日番谷に
 相手は続ける

 『コノチカラ ハ サイキョウダ…
 コレデ ソウルソサエティ ト マカイ
 ニ フクシュウ スル…』

 「ソウルソサエティ…!?」

 自身が知っている言葉
 に気付き復讐という
 単語に敵だと認識する

 『ソノタメニハ モット モット
 チカラ タカメル ヒツヨウ ガ アル
 ツヨイ タマシイ…喰ワセロ!』

 「てめぇが未だ何者か
 わからねぇがソウルソサエティ
 の敵ならば、斬る
 魂も喰わせるわけには
 いかねぇ」

 刀を中段に構え
 冷たい瞳で周りを
 見据える
 残り少ない霊圧を
 上手く使い戦うしか
 ないようだ

 ザアッと風が吹き
 再びあの光が
 日番谷を襲う

 『スプリフォ!』

 今度は確かに聞こえた
 しかも先程と言葉が違う
 そのせいか光の威力が
 数倍あり日番谷は焦る

 「くそッ…!」

 刀は意味を為さないと
 悟りまた避けるが
 右袖が当たってしまった

 消滅する袖

 腕に当たらなかっただけ
 幸いか…と思ったが
 第二撃が既に目前に
 迫っていた

 「ッ…破道の三十三
 蒼火墜!!」

 残りの霊圧を振り絞って
 出した蒼火墜は見事
 光を相殺出来た

 ただ体力の消耗は
 激しく荒く呼吸を
 繰り返す

 『ヤルナ…シカシ オワリダ』

 「チッ…!」

 更に強まる殺気に
 悔しげに
 顔を歪める日番谷

 その時

 「冬獅郎っ!!!」

 「隊長!!!」

 「日番谷隊長っ!」

 騒ぎに駆けつけた
 一護達と一角達が
 上空から下降してくる


 『…チッ マダ アイツラ
 ゼンイン ヲ アイテニハ デキナイ
 イノチビロイ シタナ シニガミ』

 殺気が消え徐々に
 消える気配に日番谷は
 声を絞り出す

 「待てッ…!お前は…!」

 『"アンサートーカー" ノ コゾウ ハ
 オレガ カナラズ 喰ウ』

 その言葉を最後に
 気配を完全に
 消えてしまった

 日番谷は森の深奥を
 虚ろな瞳で睨んだが
 直ぐに視界は暗転して
 しまった

 一護と乱菊の叫びを
 残して





[*前へ][次へ#]

10/13ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!