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6.放課後×記憶






 いつもは静かな
 放課後の保健室
 しかし今日は
 現世×死神達の会議場に
 様変わり

 閉じられているカーテンの
 内側のベットには
 4時限目の試合で
 気絶したままの
 高嶺 清麿が
 寝かされている


 「…高嶺君は…
 平気なの…?」

 沈黙の中、最初に口を
 開いたのは不安げな
 織姫だった

 「外傷はないから
 しばらくすれば
 目を覚ますだろう
 心配しなくても
 平気だ」

 そんな織姫の心配を
 優しく諭すルキア

 「全く…!
 一角がいけないのよ!?
 本気出してやったら
 気絶する事ぐらい
 解ってたでしょう!?」

 「うるせぇ!
 解ってたに
 決まってんだろ!?
 耳にタコが出来るぐらい
 テメェに聞かされた
 からなァ!」

 「なら、どうしてよ!?」

 「どうしても何も
 テメェも感じただろ!?
 あの霊圧!
 アイツは刺客で
 普通とは思えない
 攻撃してきた!
 反撃の理由は
 これ以上ねぇってぐらい
 揃っただろうが!」


 「止めろ!松本!斑目!」


 言い争いが白熱し
 今にも2人が
 掴み合いそうになった時
 鶴の一声とでも言うべき
 日番谷の声が雷の様に
 落とされた

 乱菊と一角は
 口をつぐみ
 (一角は舌打ち)
 バツの悪そうな顔をした


 「…お前らも一瞬だが
 感じたよな?
 並の人間が持っている
 はずがない霊圧を」

 淡々と務めて冷静に
 言う日番谷

 その言葉に一同は
 神妙な面持ちで頷く
 しかし一護だけは
 俯いたまま黙っていた


 「俺は高嶺を刺客として
 断定してもいいと思う」

 「………」

 信じたくない気持ちは
 皆一緒だ
 だがあの霊圧と
 一角を圧倒する動き
 刺客としては申し分ない
 証拠が揃って
 しまっていた

 「…松本、ソウルソサエティに
 連絡を…」

 そう言って日番谷が
 立ち上がった時
 今まで黙っていた一護が
 突然立ち上がった

 「く、黒崎?」

 「…い出した…」

 「? 何だ?」

 「思い出したんだよ!!
 俺、高嶺を
 見た事がある!!」

 「……ハァ!?」

 突然のカミングアウトに
 声を荒げる日番谷


 「ちょっと待て黒崎
 全く皆に伝わっていない
 どういう事だが
 順序をたてて
 説明してくれ」

 眼鏡をクイッと
 押し上げつつ問う石田

 「"見た"…というか
 "見えた"つった方が
 正しいのか…?
 とにかく俺は
 高嶺を見たんだよ…
 …白哉との戦いの時」

 「「「!!??」」」

 「ソウルソサエティで!?」

 「いや、実際は
 そうじゃなくて
 俺の頭の中?で、だ
 白哉との戦い途中で
 俺…一回意識を
 飛ばしたんだ
 …その間…白哉を
 相手してたのは…
 俺の中の虚……」

 悔しそうに
 顔を歪める一護

 一護の中に"虚"が
 最初に出たのはあの時


 理由を知る
 ルキアや恋次は
 辛そうに一護を見るが
 他の者は首を傾げている

 「…あ、いやそれは
 今関係ねぇから
 気にしないでくれ
 その意識を飛ばしてる
 間に高嶺の姿がはっきり
 見えたんだ」

 「…」

 普通はあり得ないと
 言うだろうが
 あまりに真剣な目で
 一護が語るので
 嘘だとは思えなかった

 「…よく解らないけど…
 断片的に見えた
 高嶺は戦っていて
 血だらけで…
 相手はスゲェ強くて…
 でも負ける気なんて
 サラサラねぇみたいで
 ただ何かを護りたい
 一心で……

 俺以外にも
 護りたいものを
 必死で護ろうとしてる

 負けられねぇ…って
 強く思ったんだ」

 体中が痛んで軋んで
 もう動けないと
 一瞬諦めたけど
 その姿を見たら
 自然に意識は戻っていた

 「…信じらんねぇ
 かもしれねぇけど…
 本当なんだよ

 だから俺は…高嶺は
 刺客じゃねぇと思う
 …思うっつーか
 感じたの方が正しいか」

 話終えた後
 ゆっくり顔を上げ
 苦笑いする一護

 自分でも解っているのだ
 突拍子もない事を
 言ってると

 しかし
 あの時見た高嶺の姿
 が本当ならば
 敵だなんて思えない

 そう強く感じていた


 沈まりかえる中
 フッと笑みを浮かべる人物

 「誰も信じぬとは
 言っていないだろう?
 いつにもなく
 弱気だな、一護」

 「ルキア…!」

 「…日番谷隊長
 一護の言ってることは
 かなり不確かで信憑性は
 全くありません
 しかし一護は
 嘘をつける程器用な
 人間ではありません」

 遠回しに不器用と
 言われているが
 この際気にしないで
 おこう

 「ですから…高嶺清麿を
 刺客と断定するのは
 もう少し後にして
 頂けませんか…?」

 頭を下げ日番谷に
 懇願するルキア
 同じく一護も頼む、と
 頭を下げる

 そんな2人を見て
 ハァと心底困ったような
 ため息をつく

 「……わかった
 但し疑いは深まった
 と言うことだけは
 忘れるな」

 「あ、有難う
 ございます!」

 「サンキュッ!冬獅郎!」

 「日番谷隊長だ!」


 嬉しそうに笑う
 2人に仏頂面で
 答えながら日番谷は
 立ち上がった

 「今日はこれで終える
 各自、町の見回りを
 しながら帰宅してくれ
 黒崎と朽木は責任持って
 高嶺を監視しろ」

 「はい!」

 「あぁ!」

 一護とルキアが返事をし
 会議は解散となって
 保健室には一護とルキア
 そして織姫と石田が
 残った



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あきゅろす。
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