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5.観察×試合





 「高嶺ェ」

 あっという間に
 4時限目まで終わり
 次は体育
 更衣室の隅で
 (男友達がまだ
 あまりいない)
 着替えていると
 つるっぱ…もとい
 スキンヘッドの人に声を
 かけられた

 ちょっとビクつきながら
 (オーラが恐い)

 「な、何…ですか?」

 と敬語になりつつ
 聞き返す

 「次の体育…
 剣道なんだがよォ…
 …俺と試合しねぇか?」

 ニタリと笑いかけられ
 本能的にヤバいと感じる

 本当に俺何も
 してないよな!?

 ヤバいと思うも
 断るのも…

 「…い、いいですけど…」

 …了承してしまった

 「なら早目に防具に
 着替えろよ
 俺は先行ってるからな」

 腰に挿してある木刀
 (恐い恐い)
 を抜き肩に乗せながら
 スキンヘッドさん…
 確か斑目さんは
 出ていった


 どうか怪我だけは
 しませんように…

 心の中で思いながら
 重い防具を持った
















 「一角…
 行動早すぎだろ…」

 「いいじゃねぇか!
 楽しみだぜ…
 刺客とやらが
 どこまでの腕か…」

 嬉しそうに笑う一角に
 ムスッとする一護

 先程刺客の疑いについて
 一角達、井上達にも
 知らせたのだが
 一角はそれならと
 剣道での試合を
 高嶺に申し込んだのだ

 「生憎、先公は
 いないらしいからな。
 まぁ居ても居なくても
 一角さんが
 暴走しなきゃいいが…」

 「大丈夫だよ
 一角もそこの所は
 解ってるはずだよ」

 「ならいいッスけど…」

 恋次も顔をしかめ
 一角の背中を
 見つめている

 「それにしても
 日番谷君。
 高嶺君が刺客って
 確かなのかい?」

 「まだ推測だ。
 斑目がこんなに早く
 行動に移すとは
 思わなかったがな」

 「でも逆に良かったん
 じゃないか?
 疑いを晴らすには
 …僕には
 とてもじゃないけど
 刺客には見えない
 けどね」

 「俺もそう思う…」

 石田と茶渡は
 もし違った時の対処を
 心配しているようだ

 「黒崎はどう思うんだ?」

 「俺は…」

 何故か一護は
 歯切れが悪い

 「黒崎?」

 「…高嶺は…」

 そう言いかけた所で
 武道場についてしまった

 「いや、後で言う」

 「…解った」

 一角を先頭に
 ぞろぞろと目立つメンバー
 が入室していく

 既に他のクラスメイトは
 集まっているようだ

 「隊長―!
 例の子と一角が試合
 するんですか?」

 「あぁ…」

 「高嶺君…平気かな」

 織姫は心配そうに呟く



 「お、遅くなりました」

 防具に着替えた清麿が
 武道場に入ってくる

 「来たか…
 弓親ァ!阿散井!
 審判しろ!」

 「解ったよ」

 「了解ッス」

 観客の中から
 弓親と恋次が
 出てそれぞれの
 位置につく

 「あ、あの…」

 恐る恐るという感じで
 高嶺が手をあげる

 「どうしたァ?
 今更逃げるなんて
 言うなよ?」

 「…俺…剣道のやり方
 解らないんですけど…」

 「ハァ!?
 んなもん
 打ちゃいいんだよ!」

 「は、はい!」

 かなり大雑把な答えだが
 それ以上は教えて
 くれないようだ

 やるっきゃない…と
 半場諦めながら
 竹刀を構える清麿

 一同が固唾を飲んで
 見守る中、弓親が

 「初め!!」

 と叫んだ





 (構えはド素人だな…
 わざとか?)

 清麿の構えに軽く
 戸惑いつつ先に
 踏み出したのは
 一角だった

 試しかどうかは
 解らないが真正面からの
 面狙いだ

 「Σッ!!」

 しかし本当のド素人の
 清麿はあまりの早さに
 ついていけず後退りして
 ギリギリかわす


 「…隊長…」

 「……」

 乱菊が焦りを混ぜながら
 呟くが日番谷は答えない

 (俺の思い違いか…?
 それともまだ力を
 出していないか…)


 明らかに一角が
 攻め合いでは勝っている

 一角自身もそろそろ
 退屈してきた

 「舐めてんのか…?
 本気出せよ!!」

 「なッ…」

 竹刀ごと、高嶺の体を
 後ろに振り飛ばし
 2撃目で面を
 とろうとする

 (本気だっつの…!)
 内心舌打ちをし
 体勢を直ぐ様直し
 横に避ける

 「…遅ぇ」

 しかし避けられる事を
 想定していたのか
 一角は既に竹刀を
 高く振り上げ…
 降ろしていた

 「!!」

 避けられない…!





 ドンッ……!

 「「「!?!?」」」

 武道場に居る
 霊力のある者全員は
 突然のし掛かる
 重い霊圧に体が震える

 一番驚いたのは
 その霊圧を出している
 本人の近くに居た…
 一角であった

 (コイツ…!)




 清麿の脳は危険を察知し
 ほぼ無意識で
 "答えを出す者"を
 発揮していた

 Q.回避は可能?
 A.可能
  体を低くし竹刀を
  両手で支え
  前に押し出す

 体は"答え"の通り
 に動き見事に一角の
 竹刀を止める

 「!」

 Q.反撃は可能?
  急所は?
 A.可能
  現在の急所は
  右の脇腹

 そのまま受け止めた
 竹刀を弾き飛ばし
 右の脇腹を竹刀で
 叩こうとした

 竹刀は何とか
 弾き飛ばされずに
 すんだものの
 熟練者さえ見抜けない
 急所を的確に突いた
 清麿の攻撃に
 驚くばかりで
 防御が追い付かない一角

 もう駄目かと思われた時
 清麿の攻撃が
 速度が緩んだ

 先程の霊圧も
 嘘のようにない

 チャンスと感じた一角が
 ギリギリで防御し
 そのまま本気の力で
 竹刀を振り下ろした



 「ッア…!」

 まともに受けた攻撃は
 防具など無意味の様に
 鈍痛が走った

 俺は重力に
 逆らえないまま倒れた

 ―…また無意識で
 "答えを出す者"
 使っちゃったな…
 制御…出来たと
 思ったのに…

 「た…高嶺!?」

 「高嶺君!?」

 意識が朦朧とする中
 チラリと見えたオレンジ頭の人

 …あぁ…そうだ…彼は…

 思い出せたのに
 意識プッツリ途切れた









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