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3.標的×日常





 見知らぬ道を
 迷いなく進む清麿
 地図は昨日のうちに
 見てきたため
 大体解る様だ

 もうすぐでモチノキ町から
 出て空座町に入るはずだ


 「……」

 清麿の心の傷はまだ
 癒えてはいなかった

 数ヶ月で志望高を
 追い出されたあげく
 信じていた"友達"に
 裏切られた

 これからの行く高校
 ―空座第一高校には
 憂鬱と不安しか
 感じていない

 「だからといって
 また引きこもる
 訳にはなぁ…」

 ポツリと呟き
 ガッシュとの誓いを
 思い出す

 ―…まだ平気だ

 そう自分に言い聞かせる


 そうこうしている内に
 丁度モチノキ町と空座町の
 境目に来ていた

 ブツブツ高校について
 考えていた清麿は
 気づかずに通りすぎる





 ―…ピシィ…―

 何かにヒビが
 入った音が響く


 空座町に点々と広がる
 異形の影が顔が上がる

 新たに空が割れ
 出てくる者もいる

 異形の影は口々に言う



 『…喰…ワ…セロ…』

 『魂…強イ魂魄…来タ…』

 『喰ウ…喰ウ…喰ワセロ…』

 『『『喰ワセロ!!』』』







 「Σ!?」

 いきなり清麿の背筋に
 悪寒が走る

 ―何だ…!?
 今の殺気……!

 集中力を研ぎ澄まし
 直ぐ様壁を背にする

 ―…気のせいか?

 数分そうしていると
 悪寒は薄れ殺気は消えた

 「…疲れてんのかな、俺」

 再度ため息をつき
 ふと時計を見ると

 「やば!遅れる!!」

 転校初日に
 遅れたくはない!!
 と鞄を抱え走り出した


 ―…異形の影は
 ニタリと笑い
 確かに清麿に
 近づいていた




















 「おっはよ―!黒崎君!
 朽木さん!」

 「…ム」

 「おはよう、朽木さん」

 「おぅ!
 井上、茶渡!
 ………石田」

 「何だその間は
 失礼だな、君は」

 「おはよう
 井上、茶渡、石田」

 「うっせぇ」


 空座第一高校では
 変わらない朝の風景が
 流れていた

 鞄を肩に乗せ
 少し気だるそうに歩く
 一護とおしとやかに
 歩くルキアに
 織姫、茶渡、石田
 が声をかける

 「井上、冬獅郎と
 乱菊さんは?」

 「少しソウルソサエティに連絡
 終わったら直ぐ
 来るはずだよ?」

 「そうか」

 「貴様も本来なら
 死神代行として
 こまめに現状報告を
 せねばならんのに…」

 「んな面倒な事…」

 「あ、ほら!噂をすれば!」

 ピッと織姫が後ろを指す
 そこには何とも
 目立つ姿の
 知り合いが居た

 「あいつら…!
 目立つからなるべく
 一緒に登校すんなって
 言ってんのに…!」

 一護は目頭を抑え
 ため息をつく

 案の定、他の生徒から
 日番谷先遣隊は
 注目の的だ

 「あっ一護達〜♪
 おっはよ♪」

 「おはようございます
 松本副隊長」

 「一護ォ!
 これどうやって
 飲むんだァ!?」

 「挿すだけだろ!?」

 「美しくない
 やり取りだね」

 「ふぁ…ねっみ」

 「阿散井君
 今日は小テストだが
 大丈夫かい?」

 「何!?」

 「それ本当!?」

 「松本、阿散井
 てめぇら覚えて
 なかったのか…?
 昨日俺が再三
 言っただろうが…」

 「「うっ」」

 何とも賑やかな集団は
 そのまま教室に入るが
 会話はまだ続く

 「はよ、織姫」

 「おはよう
 たつきちゃん!」

 「おーっす圭吾、水色」

 「ごふっ!
 俺まだ何も
 してないけど!?」

 「しようとしてただろ」

 「おはよう、一護
 ねぇ知ってる?」

 「何がだ?」

 「してないし!
 つーか無視!?」

 「今日、転校生
 来んだって」

 「珍しいな、こんな
 中途半端な時期に」

 「ねー」

 他愛のない話
 それでも最近まで
 続いていた戦いが
 嘘に思えるほど
 平和を強調させる

 そんな幸せを人知れず
 感じながら
 一護は席につく

 「女だと思う!?
 女だと思うよな!?」

 「圭吾はただ単に
 女がいいだけだろうが」

 「ただの女じゃない!
 絶世の美少女が
 いいじゃん!」

 「転校生、男だよ?」

 「NOoooooo!!!」

 浅野が崩れ落ちる様に
 自分の机に突っ伏す
 大分ショックだったようだ


 「……」

 一護の後ろに席がある
 日番谷は少々眉間に
 皺をよせる

 「隊長?
 眉間、大変な事に
 なってますよ?」

 「…うるせぇ」

 「冬獅郎?
 どうかしたのか?」

 乱菊とのやり取りが
 気になり振り向く一護

 ちなみに恋次達は
 必死で猛勉強中
 (乱菊さんはいいのか?
 と思ったが言わない)

 「何でもねぇし
 日番谷隊長だ」

 「何でもなかったら
 んな眉間の皺
 3割増しになんないだろ」

 「無視かてめぇ」

 「そうですよぅ
 …あ、もしかして
 朝の事
 気にしてるんですか?」

 ピッと人差し指を
 たて言う乱菊


 「朝の事?」

 「ソウルソサエティへの連絡が
 終わった後ね
 複数の虚が出た
 気配がしたのよ」

 「本当か!?」

 全く感じなかった…
 と言っても俺は
 そういう感知能力は
 からきしだからな…

 「でも数秒したら
 まるで何にも
 なかったように
 フッと消えちゃったのよ」

 「もしかして…
 霊圧を消せる虚か…?」

 「…かも知れねぇな」

 今まで黙っていた
 日番谷が口を開く

 「藍染達が動き出した
 可能性がある」

 「!」

 「隊長…」

 「それにお前らが
 話していた転校生
 …この時期に転校
 ってのは
 珍しいんだろ?」

 「あ、あぁ…
 !…もしかして!」

 「…刺客かも知れねぇ」

 「「…………」」

 窓の外を見つめ
 再び黙ってしまう日番谷


 ―…そうだ
 まだ平和ボケしちゃ
 駄目だ

 藍染…必ず俺が倒す!


 一護は拳に力をこめる

 もし、転校生が
 敵ならば
 藍染の配下ならば
 …倒さなくては
 ならないだろう

 護りたい者が居る
 この場所で
 戦いたくはないのが
 本音だかきっと相手は
 容赦しないだろう

 なら…俺は…


 「…護っ!一護!」

 「! な、何だ?
 乱菊さん…」

 「アンタも考え事
 してるでしょ?
 眉間の皺が5割増しよ」

 ツンツンと乱菊に眉間を
 つつかれハッとする一護

 「難しく考えないの!
 私達、先遣隊が
 いんだから
 大丈夫大丈夫♪」

 笑いながら背中を叩かれ
 ヒリヒリと痛みを
 感じながらも不思議と
 安心してしまうのは
 何故だろう

 「松本の言う通りだ
 俺が深く考えすぎてる
 だけかもしれねぇ。
 あまり気にするな…
 と言いたいが
 油断はするなよ」

 「…おぅ!
 ありがとな、乱菊さん
 冬獅郎!」

 「日番谷隊長だ」

 「はいはい」

 日番谷の額に
 青筋が浮かびかけた瞬間
 チャイムが鳴り生徒が
 席につき始める

 恋次達も席についたが
 猛勉強はあまり成果を
 出しそうになかった

 一護は前を向き
 密かに緊張する


 ―…大丈夫だ
 俺には仲間が居る



 担任が入ってきたのは
 チャイムが鳴ってから
 10分過ぎた後だった





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あきゅろす。
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