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1.天才×災難







 ―…最悪だ

 最近の俺の心の声
 その言葉ばかりを
 繰り返している

 ため息をつきながら
 俺は見慣れない町の
 空を仰いだ



 ガッシュと別れてから
 早数ヶ月

 最初はアイツの存在の
 大きさを改めて実感し
 心にぽっかり
 穴が空いた虚無感で
 いっぱいだった

 でも魔界からの手紙が
 来てからは
 新たな目標ができ
 必ずまた会えると
 その時までには
 世界を救えるほど
 大きな人間になると
 心に誓った



 そんな新しい一歩を
 踏み出し高校にも
 慣れてきた頃

 ささいな事件が起きた


 全国でも有数な進学高
 である俺の通っている
 学校では一学年の
 新入生テストの結果が
 廊下に張り出される

 高校初のテストだけあって
 注目率が高いのか
 張り出された紙の前に
 人だかりが出来ていて
 ざわめきあっていた

 俺は下位の方から
 見て行くが
 自分の名前はない

 取り敢えずほっとする
 高校でも勉強の方は
 大丈夫そうだ

 因みに"答えを出す者"
 は使っていない
 使う必要もないと思うし
 何より不公平な気がする

 "答えを出す者"は
 私利私欲に
 使っちゃいけない
 それは十分
 解っているつもりだ


 上位にまでいくと
 流石に人だかりは
 少なくなっていた

 五位…四位…三位…

 いつの間にか一桁に
 なっている順位に
 驚き、端を見て
 俺は固まった


 一位 高嶺清麿 500点

 …満点…
 素直に嬉しい
 嫌みっぽく
 なってしまうが
 勉学で一位を取ることは
 少なくなかった

 でもこうやって
 結果に出るのは
 いつ見ても
 悪いもんじゃない


 後は…周りの反応だ


 「よっ天才君!」

 バシッと突然肩を叩かれる
 吃驚しながら後ろを
 振り向くと確か同じ
 クラスの高松だ

 「いやぁ〜お前
 凄すぎるな!」

 豪快な笑いと共に
 自分に向けた褒め言葉
 を理解し苦笑を漏らした

 「新入生テストで満点
 なんて初めてだ!
 って先生達
 騒いでたぞ?」

 「そ、そうなのか…?」

 爽やかな笑いで
 言われる言葉は案外
 大きく響き他の生徒も
 集まってくる

 「高嶺君、すごーい!」

 「天才君だ!」

 「どういう頭してるの!?」

 「勉強教えてぇ!」

 「お、おぉ?」

 群がってくる
 生徒の波に圧倒され
 清麿は流されて
 いってしまった



 「…嬉しそうな顔
 出来んのは
 今のうちだぜ…」


 静まり返った廊下に
 憎悪しか混じっていない
 高松の言葉が重く響いて
 いることなど
 清麿には知るよしもない









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