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10.嫉妬と追憶と




 「………う…」

 うっすら目を開く
 最初はボヤけて
 見えないが
 徐々に何度か見たこと
 がある天井だと解る

 ゆっくり体を起こす
 体に傷は無く
 首を傾げる

 (確か…かなり
 血だらけだった
 はずだが)

 考えていると
 突如襖がぶっ飛び
 見知った面々が見えた


 「次、近づいたら
 本当に逝かせますよ?」

 「あ、姉上!近藤さん
 既に意識不明の
 重体です!!」

 「銀ちゃーん!
 お腹空いたヨ!」

 「はいはい」

 「ギャアァ!ダークマターを
 近づけるなァァ!」

 「何ですって?
 神楽ちゃん」

 天井に頭が刺さり
 死にかけている
 近藤さんはほっとこう
 多分、大丈夫だ


 「あ!大丈夫ですか?」

 そんなうるせぇ奴等の
 後ろから女が出てきて
 俺の真横に座った

 「あ?」

 「怪我、治し損ねた所
 ありますかね?」

 見知らぬ女を軽く
 睨み付けたが
 女は臆せずにこやかに
 聞いてきた

 「あ、マヨ!」

 五月蝿かった奴等も
 俺に気付き近づいてきた

 「お!トシ!
 無事で良かった!」

 近藤さんがガハハと
 笑いながら(血だらけ)
 近づいてきたのは
 流石に驚いたが

 「土方さん、井上さん
 に感謝して下さいね
 怪我を治して
 くれたんですから」

 「か、感謝なんて!!
 気にしないで
 下さいね!」

 「お前が…」

 それは感謝しなければ
 まぁでもまず
 名乗っとくか
 そう言えば何で
 俺の怪我を?

 「…俺は土方十四郎だ
 怪我、有り難うな」

 「い、いえいえ!
 私は井上織姫です♪
 宜しくお願いします!」

 満面の笑みで
 俺を見てくる井上に
 不覚にもドキリとした


 ―…少しアイツの面影が
 ダブって見えた

 笑顔と言ったら
 嫌でも連想してしまう

 想い何かずっと前から
 心の奥底に厳重に
 鍵を閉めたはずなのに

 どうしてもう
 届かないと解ると
 ふとしたキッカケで
 頭に過るのだろうか




 チャイナがニヤリとしたのを
 見て慌てて目を
 反らした

 しかし万事屋は
 真顔で鼻を
 ほじくっていた

 妙に勘が鋭い彼奴だ
 一瞬しかだしてない
 動揺を感じ取られて
 しまったのだろう

 頭を切り替え
 井上に向き直ると
 楽しそうに話し始めた

 「あ、それと
 あっちにいる人達が
 私の仲間で
 オレンジの髪の人が
 黒崎君で
 可愛い女の子が
 朽木さん
 眼鏡をかけてるのが
 石田君
 大きな人が
 茶渡君だよ♪」

 それぞれに会釈され
 つられて会釈するが
 オレンジ頭の…黒崎?
 には軽く睨まれた

 俺なんかしたか?

 「井上!こっちに
 菓子あるぜ?」

 「本当!?黒崎君!♪」

 手を招き井上を呼び
 戻すオレンジ頭
 (ちょっとイラッと
 したから名前呼んで
 やんねェ)

 井上は

 「えと…痛かったら
 何時でも言って
 下さいね!」

 そう言いオレンジ頭の方へ
 駆けていった


 「なぁ近藤さん」

 「何だ?」

 「取り敢えず
 止血してくれ…
 そのままじゃ
 出血多量でおっちぬぞ」

 「お、おぉ?」

 近藤さんの主に頭を
 軽くスカーフで止血し
 本題に入る

 「彼奴ら、誰だよ?」

 「ん?あぁ…
 黒崎君達か!あの子らは
 万事屋とお前を助けて
 くれたんだよ」

 「そうそ〜う
 思春期学生並みの
 トキメキを感じてた
 多串君と俺をね」

 「プククク…」

 「なッ…てめぇら!!
 何言ってやがる!!?」

 「頬何か
 染めちゃって〜」

 「見た目に反して
 純情少年アルか〜?」

 かなりウザイ顔で
 両側からツンツンツンツン
 つついてくる馬鹿
 2人を蹴散らしため息

 奥では楽しそうに
 談笑している
 ゴリラ女と井上と朽木

 志村(弟)はオレンジ頭と
 ここまでの経緯を
 話したりしている様だ
 石田と茶渡も
 加わっている


 そこではたと考える



 「……総悟は?」

 「「「…あ」」」


 ……………オイ








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あきゅろす。
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