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BLEACH小説
甘い花畑[千袖]…ほのぼの

 時期設定が滅茶苦茶です
 そこを踏まえた上で
 観覧して下さい。
















 斬魂刀騒動から
 三週間後

 落ち着きを取り戻した
 ソウルソサエティは
 何故か…異様な
 甘い香りに包まれた


 「何なのだ…これは…」

 甘すぎる匂いに
 耐えきれず朽木邸を
 飛び出したのは
 六番隊隊長・朽木白哉
 の斬魂刀・千本桜

 仮面をつけてはいるも
 この匂いに
 参っているのは
 明らかの様だ


 「…白哉がいなくて
 良かった」

 きっとあの白哉だ
 こんな状況――
 とてもじゃないけど
 見せられない

 朽木邸では
 女性死神協会の
 死神達
 (+灰猫・飛梅・雀蜂)
 がせっせと
 ある物を作っている

 そのある物が出す
 匂いらしいが…

 その前に女性死神協会…
 どうにかしなければ
 などと考える千本桜
 に近づく霊圧が二つ

 「…何用だ。
 風死、鬼灯丸」

 「お?気づかれたか…」

 「貴様らのごときの
 霊圧がわからなくては
 どうする」

 「あぁ!?
 喧嘩売ってんのかよ
 テメーはよぉ!!」

 「よせ風死。
 今日来たのは
 殺りあう事じゃ
 ねーだろ?」

 「…チッ」

 いつもは血気盛んな
 風死だが鬼灯丸の言葉に
 渋々黙る
 その様子を見て
 下らない事ではないと
 判断した千本桜

 「…ではもう一度問う
 何用だ?」

 「あぁ…
 さっきから臭う
 この甘ったるい臭い
 気づいてるだろ?」

 「まぁな…」

 「当然
 バレンタインデーとか
 いう日だから何だが
 はっきり言って
 俺はァ甘い…あの
 チョコレートってやつが
 苦手何だよ…」

 「俺もだ…
 ソウルソサエティあれじゃあ
 困るっつーか…
 気持ちわりぃ…」

 「だから千本桜に
 女死神を止める
 手伝いを…」

 「ちょっと待て」

 鬼灯丸が普段
 出せないような
 弱った声で説明するのを
 千本桜を止める

 「んだよ!!
 ヤなのか!?
 あーそうだよな
 俺らと共闘なんて…」

 風死が殺気立ちながら
 文句を言いかけた時
 千本桜の口から
 思いもよらない
 言葉が出た

 「ばれんたいん?
 ちょこれーと?
 貴様らは何語を
 喋っているのだ」


 …空気が凍るというのは
 こういう事だろうか


 鬼灯丸と風死は
 完全に固まり
 千本桜が首を傾げると
 我に帰ったように
 くるりとうしろを向き
 無言で去ってしまった

 …最後に見られた
 視線が哀れみと呆れが
 混じっていたのは
 気のせいだろうか


 「何なのだ…」


 千本桜の悩みは
 この後、はっきり
 することになる
















 「ルキア様…
 本当に申し訳
 ありません…」

 「大丈夫だ!
 だから謝るな袖白雪」

 六番隊舎から
 離れた場所に位置する
 十三番隊・調理場

 そこには
 美女と美少女が
 エプロン姿で立っていた

 「私が注意してなかった
 のがいけないんです…」

 「いや、私があのような
 場所に置いといたのが
 いけないのだ。
 それにもう一度
 作れば良かろう」

 「…はい…」


 ニコッと美女に笑いかける
 のは朽木ルキア

 すまなそうに
 顔をしかめるのは
 ルキアの斬魂刀・袖白雪
 である


 どうやら袖白雪が
 ルキアが作った
 チョコレートを割って
 しまったようだ



 「それに器用なお前と
 一緒に作った方が安心だ」

 「わ、私は器用
 なんかでは…
 でもルキア様の支え
 になれるならば
 喜んでお手伝いさせて
 頂きます」


 やっと微笑んだ袖白雪を
 見て安心したルキアは
 チョコレート作りを
 再開した






 「そう言えば…」

 ルキアは蜂蜜を入れて
 甘くしたチョコレートの
 鍋をかき混ぜ
 袖白雪は反対に
 ビターチョコレートと
 ココアパウダーを
 入れて溶かし鍋を
 かき混ぜている

 「どうしたのですか?」

 「いやな…袖白雪は
 誰かに渡さないのか?」
 今、袖白雪が
 かき混ぜている鍋は
 甘い物が苦手な白哉ため
 自分がかき混ぜている
 のはお世話になった
 人達へ配る物だ

 なので袖白雪は
 実質誰のためにも
 作ってないのだ


 「私ですか…?」

 ルキア様から
 現世の行事の内容は
 大まかに教えてもらった

 私が渡す人…

 もちろんルキア様や
 白哉様のはとっくに
 準備してある
 本人達には内緒だが

 そしてもう一つ――
 ルキア様や白哉様とは
 別にある

 それを思った袖白雪は
 雪の様な白い肌を
 紅く染めた

 「…ふむ。」

 ルキアはその表情を
 見て察したのかクスリと
 笑う

 「る、ルキア様…?」

 「袖白雪。
 私の手伝いはもういいぞ」

 火を止め型に流し込む
 作業に入りながら
 言うルキア

 「え…?
 し、しかし…」

 「後は簡単な作業だけだ
 それに袖白雪は
 早く行った方がいい
 溶けてしまうぞ?」

 台所の下にある
 小さな紙袋をチラッと
 見ながら微笑するルキア

 益々紅くなる袖白雪は
 全てお見通しなのだ
 と理解する

 「〜っ//
 …で、では…
 少しの間…失礼します」

 紙袋を拾い上げ足早に
 去る袖白雪を
 見送りながら
 斬魂刀も青春してるな…
 と嬉しそうに思う
 ルキアだった




















 「やはり…綺麗だ」

 美しい花畑に佇む
 千本桜
 ここは朽木家所有の
 秘密の庭
 知っているのは
 極少数の人だけだ

 ふぅっ…と一息をつく
 千本桜は先ほどの騒動
 とは隔離された
 この空間に多いに和んだ

 フワッと舞う花弁
 色とりどりの花弁の
 中でも一際目立つ
 白い花

 名前も知らない花だが
 千本桜は一番
 この花が好き

 雪の様で儚いが
 花弁一枚一枚に芯が
 通っている
 それがまた美しい

 まるで……


 「千本桜殿……?」

 ふとかけられた声に
 柄にもなくビクッと肩を
 震わせる
 そしてゆっくり振り向く

 「やはり…此所に
 おられましたか」

 美しく微笑む袖白雪に
 目を奪われる
 先ほどまで頭の中の
 大半をしめていた
 彼女がいたのも驚きだが
 その前に
 あぁ…やはりそっくりだ
 と微笑して
 袖白雪を見つめる


 「千本桜殿?」

 「あ、あぁ…
 すまん。考え事を
 していた」

 微動だにしない千本桜
 を心配したのか
 気づかない内にかなり
 至近距離にいる袖白雪

 「袖白雪…何故ここに?」

 照れを誤魔化すため
 質問を投げ掛ける

 「…」

 簡単な質問したはず
 なのだが袖白雪は
 俯いて黙ってしまう

 心なしか顔が少し紅い

 「?」

 「わ…私は…
 …千本桜殿に…
 用がありまして…//」

 いつもの彼女らしくない
 照れが出ている言葉に
 一瞬抱き締めたい衝動
 にかられたが
 グッと堪える

 「何だ…?」

 優しく聞く千本桜に
 ついに照れが限界を
 越えたのかバッと紙袋を
 差し出す
 そして直ぐ様
 走り去ってしまった

 「お、お??
 ま、待て袖白雪!!」

 紙袋を受け取ったが
 どうすれば良いか
 わからず声をかけたが
 すでに遠くにいる袖白雪

 彼女からの贈り物は
 嬉しいが紙袋からは
 白哉の自室近くの
 匂いが鼻につく

 恐る恐るだしてみれば
 折り畳まれた紙が一枚
 と綺麗に包まれた箱

 箱の中身はもちろん
 チョコレートだが
 千本桜は知らない


 折り畳まれた紙を
 丁寧開けばわかる話

 そんな千本桜を包む様に
 花弁が一斉に舞った














 (千本桜がバレンタインの意味を理解するまで後30秒)
 (千本桜が走り出し袖白雪を抱き締めるまで後50秒)
 (二人の唇が重なるまで後―――)




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