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BLEACH小説
生きる意味[日桃]…シリアス





 …終わった…

 終わったんだ…
 勝ったんだ…

 でも…俺は…



 『護れた』のか…?














 「隊長…」

 四番隊集中治療室
 今ここでは
 十番隊隊長
 ・日番谷冬獅郎
 五番隊副隊長
 ・雛森桃
 が治療を受けている



 藍染達との激闘は
 ソウルソサエティ側の勝利に
 なり藍染達は死亡した

 しかしソウルソサエティが
 受けたダメージは
 大きく、隊長格の
 ほとんどが治療中と言う
 大変なことになった


 副隊長各は
 井上織姫にほとんどの
 怪我を治して
 もらったため今は
 病室で各自療養中だ


 ――しかし
 未だに目を覚まさない
 二人がいる

 「乱菊さん…」

 「…一護…」

 瞬歩で現れた一護は
 集中治療室を見ると
 眉を下げ悲しげにした

 「まだ…目が覚めない
 んですか…」

 「…えぇ…
 雛森の方は後ちょっと
 らしいわ」

 「…冬獅郎は…?」

 乱菊は俯く
 それだけで
 あまり思わしく
 ないのがわかった


















 「……ここ…は…?」


 私がいたのは
 真っ白な世界


 「…誰もいない…」

 周りを見渡しても
 白い世界が続くだけ


 ふと思い出す
 私はさっきまで
 激闘の中にいたはず…

 そして相手は…

 「藍染隊長…」

 そう呟くと目の前には
 藍染隊長がいた

 「あ、あ…あ…」

 思わず後ずさる
 でも…藍染隊長は
 前みたいに優しく
 微笑んでいた

 「藍…染…隊長…?」

 ただただ微笑む藍染隊長
 もしかしたら…
 あの激闘後、和解して
 戻ってきてくれたの…?

 一歩、一歩近づく

 あと少しで
 手が届く…と思った時

 『止めろ!!雛森!!』

 「し、シロちゃん…?」

 シロちゃんの声がして
 手を引っ込める

 すると藍染隊長は
 不気味に微笑んで
 刀を降り下ろした

 「!!ッ!!」

 叱咤に避け
 刀を構える

 やっぱり…駄目なんだ…

 涙が出てきそうに
 なるのをこらえる

 すると前に誰かが
 立った

 『ったく…心配
 かけんじゃねーよ。』

 「し、シロちゃん!!!」

 私の頭をポンッと撫で
 たっていた

 『俺が護るから。』

 そう力強く言った
 シロちゃんは
 ニッと笑い藍染隊長に
 向かっていった














 「雛森っ!!雛森っ!!」

 「…ら…んぎく…さん…」

 「良かった…雛森…!」

 私は乱菊さんに
 抱き締められた

 後ろには
 吉良君や阿散井君がいる

 「ここは…?」

 「四番隊よ!隊長が
 雛森を助けて
 くれたのよ…」

 涙ながら言う乱菊さん

 「シロちゃんが…?」

 そう言えば
 記憶の片隅に
 シロちゃんが私を
 撫でてくれていたのを
 思い出す

 「…………!!!!」

 その時
 全てを思い出した

 最後の戦いの時
 私は藍染隊長に
 刀を向けた

 でも藍染隊長は
 私の攻撃何か簡単に
 弾き返して…

 非情にも藍染隊長は
 私にセロを打った…

 次の瞬間
 見えたのは
 朱に染まった銀色だった

 「し…シロちゃん!!」

 私は飛び起きて
 走った

 乱菊さん達の声が
 遠くに聞こえた


 ひたすら走って
 霊圧が感じる部屋に入る






 息を飲んだ…

 たくさんのチューブに
 繋がれたシロちゃん
 包帯の隙間から見える
 顔は蒼白だった


 「…い…イヤァァァァ!!!!」
























 「死んだ…のか?」

 先ほど雛森が藍染に
 襲われてた

 夢だと思ったが
 体は自然に雛森の前に
 立ち藍染に
 向かっていった

 しかし剣が交わる
 数秒前にフッと
 消えてしまったのだ


 随分前から
 この真っ白な世界にいる
 雛森を庇った後の
 記憶はなく気づいたら
 ここにいる

 きっとさっきの
 雛森と藍染は雛森の夢
 いなくなったってことは
 雛森は目を覚ました
 ってとこだろう

 ……最後に会えて
 良かった…

 そんなことを思って
 しまう俺は馬鹿だな


 藍染は死んで
 もう雛森を襲うやつは
 いない。

 護れて良かった


 『本当にそれで
 いいのか?』

 凛と響く声
 バッと振り向く


 「…くさ…か…?」

 最も信頼して
 最も悲惨な別れ方をした
 俺のただ1人の親友――

 『久しぶりだな。
 冬獅郎!』

 前みたいに
 ニッと微笑んだ


 「本当に草冠なのか…?」

 『俺以外の
 誰だってんだよ!』

 呆れ気味に苦笑する

 「じゃ…じゃあ俺は
 死んで…」

 『お前は死んでないよ。
 まだ』

 「は!?」

 突然の親友の再開にも
 動揺してるのに
 まだ…?

 『でも、今冬獅郎が
 生きる事を諦めたら
 完全に…死ぬ』

 「…………」

 『俺はそれを確認しに
 来たんだよ』

 そうか…
 俺は今、選択を
 しなきゃいけないんだ

 「…俺は…生きた方が
 いいのかな…」

 『…悩むの?』

 草冠は眉を八の字に
 して問う

 『普通は生きるって
 即答するけどなぁ…』

 「…俺は罪を
 背負いすぎた。
 雛森の事も。
 藍染の事も。
 ……草冠の事も。」

 『……』

 「生きてる資格なんて
 とっくの昔に…
 ないのかもな…」

 『…冬獅郎は
 やっぱ馬鹿だ。』

 「な!?」

 このタイミングで
 馬鹿って…

 『優しすぎるよ。
 冬獅郎は。』

 「…?」

 『何もかも
 背負いすぎさ。
 その雛森さんとか
 藍染さんの事は
 決して冬獅郎だけの
 せいじゃないだろう?
 …しかもいつもの
 冬獅郎なら
 こう言うはず。

 【全てを背負って
 生きることで罪を償う】
 ってね』


 「!!」

 『それに冬獅郎が
 いなくなったら悲しむ
 人いるだろしっ!!』

 「…草冠…」

 まさか…な
 俺を恨んでるはずの
 こいつからこんな
 言葉を貰うなんて

 『…ほら。
 呼んでるじゃん』

 ふと耳をすますと
 遠くから誰かの声が
 聞こえる

 『思いつめないでくれ』

 「え…」

 『俺はもう冬獅郎を
 恨んでなんかいない。
 だから…生きてくれ…』

 「草…冠…ッ…」

 涙があふれた
 親友の優しさに
 ふれたから

 ありがとう
 ありがとう
 ありがとう

 『さぁ行くんだ。
 あまり時間がない』

 そう言うと
 草冠の体は消え始めた

 「!……あり…がとう…」

 感謝の気持ちは
 もっとあるのに
 言葉が上手くでない

 何ともどかしい事か

 『いいからっ!
 …じゃあな…冬獅郎』

 消え際の草冠は
 満面の笑みだった



 俺は草冠の言葉を
 心に刻み込み
 涙を拭った

 「…ありがとう
 俺の大事な親友…」

 そして
 声が聞こえる方まで
 走った

















 「…ヒッ…ク……ヒッ…
 シロ…ちゃん…」

 手を握りただひたすら
 名前を呼ぶ

 「死な…ないで…」

 「…だ……れ…が…
 …し…ぬ……かよ…」

 「!!!し、し、
 シロちゃん!?!?」

 か細い声で
 憎まれ口を叩く
 冬獅郎を凄い至近距離
 に顔を近づける

 「…近…い…」

 「…う…うわぁぁぁ!!」

 糸が切れたように
 冬獅郎の胸で泣く雛森

 そんな様子を見て
 フッと微笑んだ














 数日後
 冬獅郎は奇跡的な
 回復を果たし
 隊長復帰をした

 乱菊達も一護も
 一安心したようだ

 そして今日も
 十番隊舎に響く

 「松本ォォォ!!!!!!」

 彼の怒声
 ただ一つ違うのは…

 「シロちゃん!!
 そんな大声で叫んだら
 傷口開いちゃう
 でしょ!?」

 「ひ…雛森…悪ぃ…」

 「もう…」

 「…大丈夫だから」

 そう言って額に
 キスを落とす

 そう甘い空気が
 一つ増えたのだ


 「…ラブラブすぎるわ」

 すっかり蚊帳の外の
 乱菊であった
















 (生きる意味)
 (君がいるだけで成立していた)



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