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BLEACH小説
雪の誓い[白緋]…悲恋





 『白哉様…』






 冬の季節
 外は見事な銀世界

 六番隊隊長・朽木白哉は
 1人、執務室で淡々と
 書類を済ませていた

 横にある書類は
 残りわずか
 実は二時間前には
 山の様な
 書類があったのだが…
 さすが、朽木家当主
 と言ったところか


 最後の一文字を
 書き終えようとした時

 静かに、しかし
 そそくさと白哉の
 よく知る霊圧が
 執務室の前で止まった


 「…ルキアか」

 「!は、はい!!
 失礼します兄様!」

 襖を開け緊張した
 面持ちで入って来た
 義妹の朽木ルキア

 書類仕事をやっていた
 白哉を見て

 「お邪魔…でした
 でしょうか…?」

 と焦りながら訪ねる

 カタンと筆を置き
 丁度終わったところだ
 と告げると
 ホッと胸を撫で下ろした

 「何か用か?」

 「はい…この後の時間
 もしお暇でしたら
 稽古をつけて頂きたい
 のですが…!」

 そう言って
 真剣な眼差しで
 白哉を見るルキア



 ――藍染達の反乱後
 白哉とルキアの蟠りは
 崩れ、端から見ても
 羨ましいぐらいの
 仲の良さになった

 …多少、二人とも
 度が過ぎる程なぐらいだ

 そして、よくルキアは
 六番隊隊舎の道場で
 白哉直々の稽古を
 つけてもらっているのだ


 「仕事は終わったのか」

 「はい!浮竹隊長が
 今日は早くあがって
 良いと…」

 「…道場に向かう。
 支度をしてこい」

 「あ…ありがとう
 ございます!!」


 嬉しそうに微笑み
 一礼してから
 執務室を出ていった

 白哉は机の上を
 片付けながら足早に
 道場に向かった


















 「………ルキア?」

 道場には誰にもいなく
 先にいるはずのルキアの
 姿もなかった



 入り口付近を見渡すと
 一面の銀世界が目に入る

 足跡ひとつない
 雪の上を歩いてみて
 降ってくる雪を見つめる

 「……雪か……」













 『白哉様!白哉様!』

 遠い昔
 その日も一面の銀世界
 だった

 彼女は白哉の部屋まで
 息を切らしてやって来た

 「緋真…部屋で
 寝ていたのでは
 ないのか?」

 『今日は体調が
 いいんです。それより
 白哉様、雪が積もって
 いますよ!?』

 「…知っている」

 『……雪は
 お嫌いですか?』

 「いや…嫌いではない」

 『ならば庭を散歩
 致しませんか?きっと
 楽しいです』

 子供の様にはしゃぎ
 無邪気に微笑む彼女

 自然と白哉も微笑む

 「…あまり長くは
 駄目だからな」

 『はい!』






 サクサクと二人の足音が響く

 ちらちらと雪は舞い
 とても美しく儚げだ

 『綺麗…』

 手のひらに雪を乗せ
 見つめる

 「…緋真は
 雪が好きなのか?」

 『はい。
 …とても白哉様に
 似ています…』

 「私に…か?」

 「白く気高くて
 優しい感じがです」

 ニコリと笑う彼女は
 雪以上に綺麗だった

 抱きしめて
 しまった白哉

 『び…白哉様…?』

 白い頬を紅く染め
 首を傾ける

 「…緋真…私は誓おう」

 耳元で囁く

 「お前を
 一生愛すことを。
 お前の傍に
 一生いることを。
 お前の好きな雪の様な
 人間でいることを。」

 『白哉様……』

 キュッと白哉の手を握り
 紅く染まった頬のまま
 彼女は囁く

 『緋真も白哉様
 ただ1人を
 愛し続けます…』












 「兄様!!!!」

 突然後ろから
 かけられた声で
 我にかえる白哉

 「すみません!
 用意に手間取って
 しまって…」

 息を切らして
 走って来たのか
 肩で息をするルキア

 「…………緋真…」

 「兄様…?」

 「!…いや、何でもない」

 重ねてしまった
 そっくりな二人
 もういない愛しき彼女

 「…大丈夫ですか?
 体調が
 優れないのですか?」

 「…平気だ。」

 そう呟き
 道場の入り口に
 向かう白哉

 それを慌てながら
 追うルキア


 雪は静かに舞って
 降り積もっていった


 ――まるで
 彼女が見守っている様に








 (ふと甦る記憶)
 (未だに愛する彼女)
 (今、私はお前に
 誓ったような
 人でいれてるだろうか)





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