[携帯モード] [URL送信]
暇潰し
とりあえず貰ったパンフレットを手に、何があるのかぶらりと見て回ることにした。

クロノス・オンラインを創始した会社は元々色々な大ヒットゲームを生み出していて結構有名である。
あちこちに別の新作ゲームの体験コーナーがあって、至る所ではもう長蛇の列が出来ていた。
最初は並ぼうかと悩んだものの、長時間待つことが苦手な私は結局諦めてその辺を歩き回ることにした。




「……あ、此処なんだ。会場」

暫く歩いていると、沢山の鉄パイプの椅子に座る人々と、大きな舞台が見えてきた。
私はパンフレットを広げて、此処が何のブースか確認する。


「『これぞ次世代の扉を開くオンラインRPG、クロノス・オンラインU』」


そもそも携帯でそんなに凄いことなんて、出来るのだろうか……私なんかゲーム機一つの赤外線通信で世界の誰かと対戦出来たりするあのシステムだけでもかなりびっくりしたんだけど。
まさか携帯もあのシステムみたいなの使って、世界と繋がるとか……いやこのゲームって他国でやってるなんて聞いたことないし。
それにしてももうちょっといいPR文はなかったのだろうか。

会場はまだ何もやっていないとはいえ、椅子は全て埋まっているらしく後ろで立ち話をしながら待っている人達もいるくらいだった。
こんな大々的な宣伝なら確かにこの状況は一応頷けるかもしれないと思った。

ふと、後ろの話し声が耳に入る。


「いいよな綾澤(アヤザワ)ーお前が最初の体験者だなんてよ」

「声大きいよ本山君!」


現に此処まで届いてきましたね。


私は咄嵯に振り向いて、その人物を確認する。
スポーツ苅りでやんちゃそうな少年と、黒縁の眼鏡をかけた真面目そうな少年……少なくとも年は私より下だと特定出来る。

「俺も頑張ったけどよー結局二百くらいで終わっちゃったし」

「で、でも、二百くらいでも十分凄いと思うよ」


話を聞いていると、どうやら眼鏡の少年が例の『ああああ』か、スレイマン国のトップのようだ。
あの性格からして『ああああ』だとは思えないので、スレイマン国の方だろうきっと。


ぼんやりと見ていると、眼鏡の少年――綾澤とやらが私の視線に気付いた。
視線が、ぶつかる。

「あ゙…………」

慌てて私は舞台の方へ目を逸らした。

[*前へ][次へ#]

5/35ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!