テキトー、ときどきイッショーケンメー 来たのは、将来剣帝の名を継ぐ者。 ・・・マジでか。 9代目・・・父さんに連れられて来た部屋で、「じゃあ呼んでくるね」と言って部屋を出て行ったのを見送ってから、用意されていた紅茶を飲んで窓の外を眺めていた。 考えてみれば、俺の容姿はXANXUSと所々似ている。 長さは違うが黒い髪、大きさは違うけれど赤い瞳。 XANXUSと似ているということはボンゴレU世にも似ているのだろう。 そんなことを考えていたら、部屋のドアが音を立てて開いた。 父さんの客人だろうと考え、ドアの方を見た。 そこで冒頭に戻る。 だってそこにいたのは・・・。 「う゛お゛ぉい、テメェが9代目の娘かぁ?」 S・スクアーロ。 何故、彼がここに? というか、姿が中学生ぐらいなのは何故? 聞きたいことはいろいろあるが、とりあえず今言うことは1つ。 「礼儀がなってない」 「は?」 そんなことを言われるとは思っていなかったのだろう、客人・・・スクアーロは驚いた表情をしている。 だが、今言っとかないと。 「ドアはもっと静かに開けろ。ここのドアがどれほどの力に耐えられるのかは知らない。でも、そんなに勢いをつけなくともドアは開く」 「お、おお。悪かったなぁ」 「そしてそれ以上に、」 一度区切り、今までドアを見ていた目をスクアーロに合わせ、言った。 「聞かされる俺が不愉快だ」 「テメェがかよ!」 「トーゼンだ。そして人に何かを聞くならまず名を名乗れ。名乗らないなら貴様はただの知らない人。 俺は知らない人から聞かれたことを素直に答えたりはしない。相手が敵かもしれないから偽りの答えを出す。 よってさっきの貴様の質問の答えは否だ。 俺は9代目の娘ではない。たまたまこの部屋で紅茶を飲んでいた少女だ。ちなみに幼女でも可」 「あ、ああ。俺はS・スクアーロだぁ」 「知らない人ではなくなったな。 名を知ってるうるさい人に昇格だ」 「だとぉ!!」 「ク、クク。冗談だ」 スクアーロの反応に思わず笑う。 そんな俺を見て、スクアーロはぽかんとしている。 「なんだ、俺が笑ったらおかしいか」 「いや、そういうわけじゃ・・・」 「・・・まあいい。座れ客人。貴様が9代目が招いた人なのだろう? 確かに俺が9代目の娘、名をアンリ」 そういって、紅茶をもう1つのカップに注ぐ。 おとなしく座ったスクアーロにそのカップを渡す。 「どうぞ。俺みたいなガキが入れたやつで、口に合わないかも知れないけれど」 「いただくぞぉ」 紅茶の入れ方なんか知らないから、勘でやってみた。 俺的には上出来じゃないかと思ったんだが、それが他の人に合うかどうかは分からないから結構不安だ。 スクアーロが飲むのを見て、少し右手が震えた。 「・・・お前本当にガキかぁ?」 「どういう意味だ」 「上手いぞ」 「・・・そう、か」 たった一言なのに、それがとても嬉しかった。 かなりテキトーだったのに、美味しいって言ってくれた。 俺の勘凄いな。 おっと、紅茶のことに気を取られすぎても駄目だったな。 聞きたいことがあったんだ。 「S・スクアーロ。・・・長いな。 おい、鮫。聞きたいことがある」 「おい!!」 「ああ、俺のこともアンリで構わない。で、鮫」 「鮫じゃねぇ!!」 「チッ・・・スクアーロ、聞きたいことがある」 「(舌打ち!?)俺が答えられることならいいぞぉ」 「大丈夫だ。答えられないやつも世の中には存在するだろうが、スクアーロが答えられないことじゃない」 そして、聞いた。 彼が部屋に入ってきてからの疑問を。 予想はできたけれど、それが真実なのか確かめるために。 「スクアーロ、貴様今何才だ?」 [*モドル][ススム#] [戻る] |