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進化論は嫌い
・17万打記念分
*現代パロディ





さて、今晩の食事はどうする。
いい加減出前はまずい。
ほかにあるものは冷凍食品くらいか。
しかしこれは夕食向きではないだろう。
そこまで考えてアキラは暫しキッチンで固まった。
家庭に入って数日、最大の危機だ。
彼は生憎料理はできない。
出来たら悩まない。



「参ったな」



友人に作り方をいくら聞いても何故かそうならないのだから仕方ない。
とはいえ、このまま放置も。
前職の癖で無駄に包丁を研ぎながらぼんやりしていたら、いつの間にか日は沈み、いつの間にかシキが帰宅していた。



「全くお前は…」
「仕方ないだろ。出来ないって最初に言った」



シキは肩をすくめた。
そして、やたら鋭く研がれた包丁に怪訝な顔をしながら、アキラの背中から覆い被さる形で包丁を握り、食材を切っていく。



「アンタ、意外と細かいよな」
「火が通らんからこうするんだ」
「そうなのか」
「犬か貴様」
「馬鹿にするな」



ここまで教えたら馬鹿にも出来る。
シキは笑い、手を包丁から離した。
そしてなにをするかと思えば、普段通り背後からちょっかいを出してきた。



「刺すぞ」



そう脅しても、シキは構わず腹を撫でて、唇を首に押し当ててくる。

監禁というなの同棲生活を経て、籍をいれたはいいがこれではあまりに昔と変わらない。
それが何となくほほえましく、アキラはかすかに笑って包丁を置いた。



「そういうところは嫌いじゃないんだけどな」
「聞こえん」
「この距離で?」



耳鼻科行け。
アキラはそう呟きながら足を曲げて、シキの内股をしたたかに蹴った。










進化論は嫌い





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