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まじめに話も聞いてくれない
*ED3




執務を終えて私室へ戻ったシキに、アキラは一瞥もくれなかった。
べットで紙になにかを書いている。集中していて気づかないらしい。

「何をしている」

アキラは声をかけて漸く振り向いた。鉛筆片手の姿など今まで見たことがなくて、シキにはなにやら新鮮だった。

「書いてるの」
「見ればわかる」
「そぉ?」

アキラはへらへら笑い、鉛筆を放り投げシキに近づく。彼はすぐ側までくると、おもむろに紙を突き出した。

「どうぞ」
「いらん」
「いいから」

渋々、シキは紙を受け取った。
無言で促され、ぐちゃぐちゃの文字を判読し、全て読み終えたシキはそれを破り捨てた。

「なんだこれは」
「そんな怒らないでよこんな紙切れ信じないくせに」

揶揄混じりに笑うアキラの横っ面をシキは殴った。軽々倒れたアキラの抗議など聞かずに、部屋を出た。
残されたアキラはまだ笑っていた。
笑いながら、また新しい紙を取る。

「鉛筆どこだっけ」

主がいるのにいなければこんな暇つぶししかないのだと思い知らさなければならない。
同じ文面を何回も書いてやろう。
アキラは独り嘲い続けた。
そして不意に、死ねやしないのに、と呟いた。





まじめに話も聞いてくれない




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