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もとみ様からいただきもの2



「暑い」
「そうでしょうとも」

軍服姿でこの蒸し暑い真夏の日に外で突っ立っていれば誰だって暑いに決まってる。アキラは汗をだらだら流しつつも涼しい口調で切り返した。太陽は快晴の空からじりじりと軍服内の肌を蒸し焼きにしようと無慈悲な光を放っている。雲はかけらも見当たらず、正に太陽の独壇場。前日までの大雨はどこに行ったのだとシキは完全に辟易していた。
今日は出陣する兵士達の士気を上げるだのなんだのとアキラが進言したために、わざわざ―直射日光降り注ぐ広場に下っ端も上層部も集めて激励会ならぬ運動会さながらの我慢大会が開かれることになったわけだ。ずらりと兵士を並ばせたその正面に白いテントとお立ち台があるその光景は、よくある小学校の運動会そのものだ。・・・・・・滑稽な。
次がシキの番なので会の進行をスムーズにし、さっさと終わらせてしまおうと台のすぐ傍で待機していたのだが、思った以上に部下の演説が長い。しかも話下手ときたものだ。実際はそんなに時間が経っているわけでもないのだろうが、今は1分でも長く感じる。だがこのままテントに引き下がるのはシキのプライド的な何かが許さなかった。しかもこんな軍勢の前で。アキラの顔をちらりと盗み見ると全くの無表情。汗はかいているもののうんざりした様子も見られない。リタイアは許されない・・・。
いくらニコルキャリアーになっても太陽とこの部下には勝てないんだな、と、沸いた頭で思った。
とりあえず、これが終わったら水風呂に入ろう・・・。



しかしシキは気付いていなかった。
自分の番が回ってきてもシキ自身がこの灼熱地獄で延々喋り続けねばならないと。
無慈悲な側近は、何も言わなかった。







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これで(略
私はもとみ様の書かれる高嶺が好きです。突き放したかんじがたまらない。






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あきゅろす。
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