挿話(みつめてナイトのSS)
第21.5章 〜血に勝るモノ・・・?〜 3
見とれていると相棒は照れ隠しのためか、背を向けた。
『おーいお姫様〜。そらしてないでもう一度目線こっちくださいな〜。はい、笑顔笑顔〜
』
「……」
――――冷ややかな視線が返ってきましたよ?
『……すまない、悪ノリしすぎた』
「そうね。貴方が一瞬違う世界の住人になったのかと思ったわ。
それにあまりじろじろ見るものではないわね」
『でもなぁ、見ずにどうしろと言うんだ。そもそも俺にここにいろと言ったのはお前だし
、
一緒に見てともいわれた気がするんだがなぁ?』
「そ、それはそうだけど……」
『おっと。肝心なのがまだだった。ライズよ』
「今度は何?」
『良いプレゼントだったな。凄く似合ってるぞ』
虚をつれたのか、相棒は少し固まった。なんだ、素直に褒めたのはNGなのか。
「……そう?ありがとう。エミリオが言うなら安心ね」
言ってから一息つく。その後改めて鏡と向き直った。
叔父上に感謝しなければいけない。相棒のこんな姿を見ることができたなんて。
だが、コレはありえない姿、というわけではない。
ライズはこういったモノを身につける資格は十分にあるのだ。
叔父上の血を引く、れっきとした――――
「エミリオ、どうしたの……?」
気がつけば相棒がこちらを見ている。
『……ん?いや、可愛い妹の魅力に骨抜きにされてしまったな〜、ってな』
「はいはい。お世辞もそのへんにしておきなさい」
こんな時俺がはぐらかすのにはもう慣れているのか、相棒は追求してこなかった。
『さて、今度こそ無事に任務完了ってところだな。いいもの見れたし満足だな〜』
窓を開けて退散しようとして振り返る。
相棒は今日何度目かのためいきをついた。
「全く、呑気なものね。でも、ありがとう。本当に感謝するわ」
『おいおい、感謝するって、ソレを俺に言うか?お前が感謝するのは叔父上だろう』
「勿論よ。でも貴方も無関係じゃないでしょう?それに……他人じゃないのだから」
最後は少し声が小さかったが、確かに聞こえた。
『ん……?』
うつむき加減だった相棒は意を決したように顔を上げた。
「さっき言ったわね。私達の間に他人の俺がでしゃばれないですって?
まだそんな事を気にしていたの?でしゃばりなさい。
私は勿論、お父様だってエミリオを他人だと思っていない。
なのにエミリオは私達を所詮他人だと言うの?」
『おいおい……』
和みムードはどこへやら、相棒は真剣な目で問いかけてくる。
他人だと、つい口が滑ったのがとても悔やまれる。
思っているにとどめ、言うべきではなかったのだ。
単身この国に潜入していた相棒を、その孤独から開放した俺が言う台詞ではなかった。
「確かに血の繋がりはないけど、それが何?
エミリオは、壁を作ってる。それもとても分厚いものを。
それを別に否定はしないわ。でも、私にまで他人だなんて言わないで」
驚いた。あんな一言でこんなにも相棒が詰め寄ってくるなんて。
気持ちはわかる。だがやはり血に勝る絆はないのだと思う。
共に育ってきたとはいえ、それが現実だ。それは変えようのないことなのだ。
『ああ、確かに失言だったなぁ。アレを、お前がそんなに気にするとは思わなかった』
相棒に近づき、ティアラをはずす。その髪をぐしゃぐしゃと撫でる。
「ちょっと、何を――」
『安心しろ。俺はお前の傍にちゃんといるから。
それとな、可愛い妹からの求愛もちゃ〜んとわかったからな。そのへんも安心しろ』
「な、誰が求愛なんて――」
『ハハハ、冗談だって。んじゃなっ!』
何かを言い返される前に即座に窓から退散する。全く、手のかかる妹分だ。
まぁ、向こうから言わせれば手のかかる兄貴分なんだろうけれども。
とにかく、アイツは何が何でも護ってみせる。それが俺の存在意義だから。
『でもなぁ、ライズよ』
すでに閉じた窓を遠めに見て、聞こえるはずもない声で呟く。
『お前を真に守り通すことができるのは、俺じゃないんだろうな……』
――――そんな陰りを見せたのも束の間。
そのまま自宅へと向かうかと思った青年はいつの間にか酒場に向かっていましたとさ。
えっと、このお話もずいぶん前にいただいたはず・・・。
アップする前にパソコンのHDが飛んだ為、行方不明になっていたもの・・・のはずです(^^;)
ライズ誕生日のイラストを元に作って下さったお話だそうです(^^;)
しかし、よく今のプリシラの王女衣装がわかったものです(^^)
はっ!!!まさか伝統的にあの衣装を着る事になっていたのか!!!
まぁ、そんな事は無いでしょうが(^^;)
このお話はエミリオとライズの関係を物語る上で必要不可欠だったので、アップされた事をうれしく思います(^^)/
なにせ、私の描写ではそこ迄描ききれていない気がしますので(^^;)
エミリオさん、再送ありがとうございました(^^)/
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