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みつめてナイト フォローストーリー
〜プリシラ編〜
イリハ会戦も終わって数日が経った。
「ヤング大尉の後任には誰がつくんだ?」
「さぁ、誰だろうね。まぁどちらにしてもあれほどの男の人はなかなかいないんじゃないかな・・・。」
「先が思いやられるな。」
「まぁしょうがないね。」
「しかし、俺たち学生でもないのに夏休みなんてあるのか?」
「うんと、1年目はさまざまなアルバイトについて、この国に慣れてもらうのが目的なんだってさ。」
「ふむ、そういうものか、え〜っと2年目からは訓練でも、アルバイトでもどっちでもいいのか・・・。」
「そうみたいだね、どっちかって言うなら僕はアルバイトのほうが良いな・・・。」
「あぁ、あの娘を探したいのか?」
「うんと、まぁそうなんだけどさ。」
てへへっっと笑うハジメに対しうらやましさを感じてしまう。俺にはまだそんなことを考える余裕が無いのだろう。
「あぁ、あの娘この国のどこにいるんだろう・・・。」
「それがわかれば苦労はしないさ。すぐに飛んで行ってお付き合いするつもりなんだろう?」
「そ、そ、そんなことできないよっ!!だって向こうの都合もあるだろうし・・・。」
「まぁ、そう言うことなら頑張れよ。」
笑いながらハジメを慰めた。

アルバイトは週契約で、1週間ごとに仕事を選ぶことができる。とりあえず俺は
戦の疲れが抜けきらないので、墓守をやろうと思った。ハジメの方はどうやらパ
ン屋のバイトにしたそうな。理由は・・・
「ここの人たちの主食だからね。買いに来ることがあるかもしれない。」
のだそうだ。まぁ、一理あっていると思える。

墓守をしていたある日の事、女性が独り墓の前に座り込んでいる。
「・・・・・・・・・・・・。」
「あの・・・。大丈夫ですか?」
「・・・何か?」
「えっと、今ここで墓守のバイトをしている山縣有朋ともうします。」
「え・・・それじゃあ貴方が主人の・・・。私はクレア・マジョラム・・・。あなた達の名は主人から聞かされていたわ。ヤング元大尉・・・。貴方の上官であって私の主人・・・。今は、この石の下で眠っているわ・・・。」
クレアは軽く会釈をすると静かに墓地を出ていった。

次の週、どうにか疲れもとれたようなので、採掘現場にでも行って体を鍛えよう
と思った。そして最終日、どこかで聞いた事のある声が・・・。振り向くとそこ
には1輪車に土砂を載せて運んでいるソフィアの姿があった
「・・・んしょ・・・よっ・・・!?きゃっ!」
どうやら向こうも俺を見つけたらしく、ソフィアは顔を真っ赤にして走り去って
しまった。そんなこともあったのでバイトを変える事にした。まぁ、気まずくなる
のも得策じゃないしな・・・。次はっと・・・。魚の積み下ろし作業にでもしよ
うか・・・。

そしてその週の最終日
「ん?聞きなれた声が・・・。」
「きゃっ・・・やだ・・・そんなに暴れないで・・・!?あっ!」
ソフィアは山縣の姿に気づくと顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
まさか、2度もこういうことがあるとは・・・。ソフィアちゃん苦労してるんだ
な。でもさすがに慣れない仕事は堪えた。明日は休日だからゆっくりと骨休めを
しよう・・・。

翌日お城から非常召集がかかった。何やら重大なことらしいのだが・・・。
「おいっ!ハジメ!!ぐずぐずしないで城に登るぞ!!!」
「待ってよ〜〜〜、こう言うときだけ早いんだから・・・。」
しばらくしてサウスドルファン駅に着いた。サウスドルファン駅ははちょうど城
と宿舎の中間地点に当たる。
「ねえねえそこの外国人のお兄さん!こっちよ、こっち」
「ん?どうしたの?僕達でよければ力になるよ・・・。」
「おいおい、非常召集の最中だぞ」
「いいじゃない、この間の功績があるからさ、ちょっとくらい大丈夫だよ。困ってる人は助けてあげないとね。」
「わかった・・・。ハジメが言い出したらてこでも動かないからな、付き合うよ。」
結局何の召集かはわからないが、すっぱりあきらめて気分転換をすることにし
た。
「あそこのお店のアイスが食べたいの買って下さる?」
「うん、!いいよ!!僕も食べたいし。」
「優しいのね、女の子にモテるわよ。」
「あ、甘〜い!こんなに美味しいのは初めて!!この大味でチープな味付けがなんともたまらないわ!」
(高級なアイスの方が美味しいと思うんだが・・・。)
「ごちそうさま貴方ヒマでしょ?どこか面白いところへ案内してくれないかしら?」
「あぁ、かまわないけどな・・・。」
「えっ、ホントに?貴方ポイント高いわ、紳士の中の紳士よ。じゃあねぇ・・・私、馬に乗りたい!」
「ま、俺達は馬術が得意だからかまわないか・・・。なぁ、ハジメ。」
「うん、すぐに行こうよ!」
「きゃー、牛がいる!動いてる、草を食べてる、ニオイがする!!図鑑には無い感動!ああ・・・わたしは今日というひをきっと忘れないわ!!あっ!そうだ!!ねっ、うま、馬に乗りましょ!2人で乗りましょ!!えっと、体のがっち
りした貴方が良いわ。」
「えっ?俺のことかい?あぁ、かまわないよ。」
「これよ!この感じ・・・夢にまで見たシチュエーションだわ!!」
その娘を後ろに乗せて、森の中を駆けた。
「ああ・・・気持ち良かった私は今日という日をきっと忘れないわ。ねっ、ねっ、次の所へ行きましょう。国立公園でね・・・ど〜〜してもやってみたい事があるの。さ、行くわよ」
どうやら、完全にこの娘のペースになってしまった・・・。まるで王女に付き従う騎士のごとく付き従うしか無くなってしまった。

駆けて行く女の子を追いながら国立公園に着く。
そして、審判の口の方へ向かった。。
「早く、早くぅ!」
「やって来ました、虚実の狭間審判の口へ!ウソつきが、この口の中へ手を突っ
込めば食いちぎられる・・・ああ・・・なんて素敵・・・では・・・張り切って
どうぞ!」
俺達が何の事かわからずにあっけにとられていると・・・。
「・・・早くてを入れて!早く!こう言うのは殿方の役目に決まっているでしょ?」
「いや・・・俺達はちょっと遠慮しておくよ」
判断力が鈍っていたのか思わず俺に似つかわしくない返事をしていた。
「ウソつきなの?意外と臆病なのね・・・。それじゃあわたしが行っきますぅ!」
娘は「審判の口」の中へ手を差し込んだ。
「あっ、ぬ、抜けないィィ〜〜〜っ!」
「おい!大丈夫か!!!」
すぽんと抜けたが・・・。
「きゃっ!・・・指が・・・指が・・・5本ある」
「キャハハハハ。ね、ね、面白かったでしょ?」
一瞬何が起こったかわからなかったものの、思わず2人で腹を抱えて笑ってしまった。
「ウケた・・・?ウケちゃった〜っ!ああ・・・この瞬間を守り役の皆に見せてやりた〜い!!ついに、私の理解者が現われたわ!貴方フィーリングばっちり!ね、ね、次のところへ行きましょう」
娘は「トレンツの泉」の方へ駆け出した
「おいおい、そんなに慌てると危ないぞ!!」
「大丈夫よ、早く、早くぅ!」
その娘は石につまずいてしまった。
「あっ!?」
ざっぱーん
「いやぁ〜ぐしょぐしょ・・・」
俺達はその娘の服が乾くまで無理やりつきあわされた。
「ごめんね、無理やりつきあわせたみたいで、もう真っ暗だね。そろそろ戻らなきゃ・・・今日はすっごく楽しかった、貴方達のおかげね・・・。そういえば・・・お互い自己紹介すらしていなかったね。わたし、プリ・・・じゃなくてえ、・・・とプリムよ貴方達は?」
「えっと、最初に君にアイスをおごったのが山田ハジメ。で、俺は山縣有朋だ。」
「へえ・・・結構、素敵な名前かも。そうだ!!来週もここで待ってて。私会いに来るから。ちなみに・・・貴方達に拒否権は無いからね、じゃあね!」
プリムと名乗った少女は夕闇の中を走り去って行った・・・。

8/19朝
「確か先週・・・プリムって女の娘と会う約束してたよなぁ・・・。『拒否権は無い』っていってたなぁ・・・。」
「でも約束は約束だし、待ってたら可愛そうだから行こうよ。」
「そうだな、行くとするか。」

1時間くらい待ったが、プリムと名乗った娘は来る様子も無い。
「まだ来ないなぁ・・・。時間って決めてたっけか?」
「あぁっ!聞いてないような気がするね・・・。」
「しょうがない今日1日、日向ぼっこでもするつもりで、公園で休んでいるか。」
「ゆっくりしようね。まだ1日は長いんだし。」

半日過ぎてもプリムと名乗った娘は未だ現われない。
「あ、こんにちはハジメさん、山縣さん何してるんですか?」
「あっ!ソフィアちゃん!!」
「いや、なに、待ってる人が来ないからここで日向ぼっこ。」
「そうですかそれじゃぁ、私は用事がありますからこれで・・・。」
ちょっと寂しそうな目をしながらソフィアは立ち去ってしまった。
「ちょっと、可哀想だったよね。悪いことしちゃったかなぁ?」
「でも、あの娘とハジメが一緒にいるのを見られるのは避けたかったからな・・・。」
「何でさ!」
「それは内緒。」
意地悪な笑顔をすると、ハジメはプーっとふくれっつらになった。
「その内に教えるから、機嫌直してくれよ。」
「ん〜〜、じゃあ今度だけね。」

宵の口を迎えたがプリムと名乗った娘は未だ現われない。
「いっけない、いっけない、すっかり忘れてたわ」
メイド風の女の子が誰かを探してるようだ・・・。
「え・・・と・・・んもう・・・似顔絵でもなきゃ分かるわけないじゃない。もう、や〜めたっと。大体、何で私があの女の為に苦労しなきゃなんないのよ」
女の子は、独りでブツブツとグチった後くるりときびすを返し立ち去ってしまった。
「もう僕達以外の人いないのにね。この公園。」
「仕事が入ってデートに遅刻したんじゃないかな?」
「おなかすいたね・・・。」
「ま、侍は忍耐だよ」
と軽口を言いつつまだまだ待つ。

深夜になってもプリムと名乗る少女は現われない。
「さすがにもう来ないよな・・・。」
「何か用事でも入ったんだよ、さぁ、帰ろうよ。」
何の収穫も無いまま家路についた。
その夜はものすごい勢いで、夕食を平らげた2人の姿があった。



連載第七話です。
プリシラ様、爆走ですね〜(^^)
私的には彼女のこういう行動は、大好きです〜♪
次回は、いよいよ ライズ登場です!
・・・作者の分身と、ストーリーと、どう絡むのか 楽しみですね〜☆





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