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みつめてナイト フォローストーリー
第22章−2 大人の余裕 〜さくやとエミリオの対決編〜

ふいにさくやは笑い出した。
「いやぁ、負けだ負けだ!これは見事に負けちまったな。はっはっはっは。」
かぶりを振りながらさくやの首筋から剣を引くエミリオ。
「そんな事ないね、こいつ使っちゃったからな」
2本の短剣を見つめながらさくやに言葉を投げ掛ける。
「『体術しか使わん』とは聞いてなかったからな。油断した俺が悪いのさ。はっはっはっ
は。」
さくやは心底楽しそうだ。
そんなさくやを横目に、短剣を腰に戻しながらエミリオは言う。
「う〜ん、思わず手が出てしまった。修行が足りないな〜。」
「違うな、俺はエミリオが剣を使う所を見たかったのさ。」
そこではっとしてエミリオはさくやを見る。
「最初から、この剣に手が出るように謀ったのか!?」
にやりとさくやは笑う。
「それも違うな。そうなったら儲けものだと思っていただけだ。」
さくやは体についたほこりを落としつつ立ち上がった。
「山懸から話を聞いた時に分かったのさ。エミリオは剣を使う相手を選んでるってな。」
いつもの飄々さを忘れてエミリオが問う。
「見破られた事などないのに・・・。どうして分かった?」
投げ捨てた鞘を拾いながらさくやは答える。
「簡単な事さ、その『武器が2本ある』からさ。」
信じられないと言った表情のままのエミリオにさくやは続ける。
「体術使いの腕は2本。その剣も2本。1本なら擬態出来たかも知れぬがな。」
「それだけでか?」
ふぅ、っとため息をついてさくやはエミリオに言う。
「御主は体術を主に使っているであろうから忘れがちであろうが、『同じ剣を2本使う』
と言うだけで達人クラスなのさ。」
無言でエミリオはさくやの言を聞く。
「まぁ、御主の事に深く首を突っ込む事はせぬ。しかし分かるやつには分かるであろう。
山懸やハジメなんかはな。」
さくやは身支度を整えると、また楽しそうに笑い始めた。
「と、難しい話は抜きにしてだな。今日は俺が負けたから酒場の代金を奢る。先に行って
いるからな、その剣の刃こぼれ、鍛冶屋に出してから来いよ。」
そしてさっさと駅の方に向かった。

一人残されたエミリオは困った顔をして立っていた。
「刃こぼれまで見抜かれてたか・・・。」
頭を掻きながら、駅に向かう。
鍛冶屋に剣を鍛え直してもらうためだ。
馬車に乗り、する事もなくなったエミリオは車窓から外を見ながら考え始めた。
まぁ、この後少しさくやを張るか・・・。
多分大丈夫だろうが・・・。
何もさくやだけが俺の事を分かった訳ではない。
俺だってさくやの事が少しは分かった。
やつの基本理念『戦いを楽しむ』。
『戦争』ではない所が、さくやを言う男を表わしているのだろう。
う〜ん、今度、傭兵の情報を集めてみるか。
さり気なく強敵が潜り込んできている気がする。
1人の強さでは戦局が変わるものでもない。
しかし、要注意人物をリストアップするのは悪くない。
そんな事を考えていると鍛冶屋の近い駅に着いた。

「この剣、打ち直してほしいんだけど〜。」
鍛冶屋に入るなり、エミリオは切り出した。
「おうっ、この程度ならすぐに直るから待っててくれ。」
早速親父は店の奥の攻防へと消えていった。
そしてすぐにもカーン、カーンと鎚音が響く。
「あの刃こぼれがすぐに直るなんてけっこう良い腕なんだね〜。」
と言ったところでふと気がつく。
手持ち無沙汰になってしまった。
自然とエミリオは壁に寄り掛かる
そして、又徒然なるままに考え始めてしまった。
さくやか、俺をどう思っているんだろう?
曰くありげな台詞を残していくし。
そう言えば飲みに奢るって言われたが、俺はミロか天然水しか飲まないんだけど。
まぁいいか、酒場には行く予定だったから。
今日は素直にさくやの言を聞いておく事にするか。
酒場でさくやが何を考えているかつかめるかも知れないし。
「ん?」
店の奥から音が止んだ。

「おうっ、できたぜっ!」
ぜえぜえ息を切らせている、親父から剣を受け取る。
剣を確かめると、悪くない。
「急がせて悪かったね〜。これ代金。2割り増しにしといたよ〜。」
「おっと、そうは行かねぇ。きちんと代金通りで良いぜっ。」
「この出来の対価としちゃあ当然の金額だと思うんだけどね〜。」
「そこまで言ってもらえると嬉しいねぇ。じゃあ、有り難く受け取っておこう。」
にっこり笑う主人を背にエミリオは店を出た。
そして、エミリオはさくやの待つ『Bar Meet』へと向かった。
この後さくやに悪戯され、酒入りミロを飲む事になるとはこの時は考え付かなかった。









連載23話です。

どきどきのライズ誕生日が終わって、次はバレンタイン!

・・・と思いきや、なんとエミリオさんとさくやの決闘!?

 もう、びっくり(@@)

 いっつも、クールは山懸くんは、前回に引き続き かわいいです(^^)

エミリオさんの飄々(ひょうひょう)としててカッコイイ♪

さくやは剛胆かつ、奥の深さを感じます(さくや本人も照れました(^^;;)
 三者三様の対比が決まってますね〜〜。
( ま、さくやとしては、クレアさんの周りにいる時のエミリオさんも けっこうお気に
入り(*^^*)なんですけど
(^^;;)

 この後、エミリオさんがお酒いりミロを呑んだのかどうかが、一番気に掛かりだったり
(爆)

 さて、次回は何が起こるんでしょう?



原作にほぼ忠実ながら、意表をつく展開で毎回楽しませてくれて ありがとう!>山懸さ


エミちゃんのメールが無かったら、今回のお話はありませんでした ありがとうございま
すm(_ _)m>エミリオさん

 そして、毎回読んで下さっている読者の皆様。

 たまにコメント頂けると作者の山懸さんが泣いて喜びますので

よろしくお願いします〜〜〜〜〜




皆様に感謝をこめて

小鳥遊さくや










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