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みつめてナイト フォローストーリー
 ライズ誕生日前夜 〜エミリオとの対決編〜

太刀を構えるとエミリオの気が強まる。
敵を目の前にした方がより本領を発揮できるのであろう。
動けない。
ピリピリとした空気が漂う。
お互いの隙がなく、先に動いた方が負ける気がする。
その状態でかなりの時間が過ぎた。
後で気がついたのだが、高かったはずの太陽がかなり傾いてきた。
そんな頃に俺は覚悟を決めた。
「うりゃぁ!」
俺がリーチを生かして、先に仕掛ける。
ちいさな金属片数個が黒い革手袋の甲についていた。
左拳に剣の腹を滑り込むようにして、俺の剣は払われてしまった。
「せいやっ!」
その隙に、エミリオは俺の腹めがけて右足で蹴りをくり出す。
俺は慌てて剣を引き蹴りを剣の柄で受け止めた。
それでも俺は少し後ろに飛ばされてしまった。
「やるなぁ、ここにさくやがいれば喜んだろうに。」
「こっちも意外ですよ〜。あの蹴りはじめてかわされたから〜。」
ニコニコした顔の下に闘気が上がる。
最後の一手になりそうだ。
「せぇぇぇい!」
剣道のフェイントのように腹を打つと見せ掛けての面打ち。
こちらの国々ではそう言うものがないらしい。
この手で模擬戦は勝ってきた。
「!?」
エミリオはふいを突かれたらしく、とっさに両手を剣の軌道に合わせた。
「白羽取り・・・。」
この国でそれを見るとは思わなかった。
この技があるからこそ、真剣相手に素手で余裕があったのか。
その瞬間に俺は剣を跳ね上げられた。
と、同時に俺はエミリオの懐に潜り込み、肘で鳩尾を打った。
「いや〜、参った参った。俺にあの技を出させるなんてな〜・・・。」
エミリオはちょっとバランスを崩した後、鳩尾をさすりながら笑っている。
完璧に決まったはずの俺の打撃は効いてないようだった。
格闘家相手に打撃攻撃は通用しなかったようだ。
「そうだな、俺も太刀を奪われるとは。もう止めておくか。」
「そうだな〜、こっちも結構なダメージもらってるからな〜」
と言う事で、疲労の極みにあった俺達はその場に座り込んだ。
「いい勝負だったな。」
「まあね〜。」
本音で言えば俺はほっとしている。
こいつは強い。
世界は広い、俺と互角以上に戦える相手がこんなにいようとは。
「あ、そうそう〜。お互い怪我もしなかったから〜、いい事教えてあげよう〜。」
「ん?何だ?」
「1月28日はライズの誕生日だぜ〜。」
俺ははっとする。
「何故、ライズを知っている?俺とライズが知り合いなのも何故知っているんだ?」
「まずは1つ目の質問から〜、彼女転校生だろ〜?この国に来る途中の旅の集団の中で会ったのさ〜。」
「ほうそれで。」
「クレアさんに対する態度でも分かると思うが、俺は強引でね〜。無理矢理聞き出したのさ〜。」
俺は黙ったまま聞く。
何か釈然としない、ライズはそんなに簡単に話をするのだろうか?
まぁ、傭兵なんぞに警戒しないのもおかしいか。
気がつくとエミリオの話は続いていた。
「2つ目は〜、この間のクリスマスにあんたとライズが話しているのを見かけたんでね〜。」
「話しているなら、誕生日くらい知っているとは思わなかったのか?」
「余りにも雰囲気が良さそうで良くない感じなのでな、ちょっとおせっかいを焼いたのさ〜。」
俺は憮然としながらも、一応筋の通っている話と受け止めた。
油断がならない、と言う点ではライズと同じなのだ。
しかし、何故かこいつは信用できる気がする。
ライズと馴れ合って俺の勘も鈍ったのか?
「まあ、でも貴重な情報ありがたく受け取っておく。」
「じゃあ、情報料として〜・・・。」
「金か?」
「クレアさんを〜勝たしてやってくれよ〜。じゃあな。」
と言って夕暮れの中、急いで街に戻っていった。
たぶん、酒場にでも向かったのだろう。

「誕生日・・・いったい何を贈ればいいんだ?」
独り残された俺は思考にふけていった。

「あれ〜?どうしたのっ?」
帰りの道すがらハジメに会う。
「いや、あんまり知らない女の子の誕生日プレゼントに何を贈ろうか悩んでいてな。」
「あっ!好きな娘なんでしょう?」
「どうしてそう思うんだ?」
「だって、悩みながらそんなに嬉しそうな顔、始めてみたよっ。」
「そうか?」
「うんっ!」
弾けるような笑顔でハジメが言う。
「そうだねっ、身につけるものが良いんじゃない?」
「そうだな・・・。」
確か、ライズは赤い革手袋をいつも身につけている。
「思い当たるものあった?」
「ああ、ありがとう、ハジメ。しかしハジメにそう言う相談するなんてな。」
「あっ、せっかく相談に乗ってあげたのにっ、さらりとひどい事言ってるっ!」
「まぁまぁ、怒るなって。感謝してるから。」
「もうっ、、しらないっ!」
ぷっとむくれる姿にほっとする。
今日はハジメとさくやに話す事がある。
強者との出合いの話。
今日の酒の肴には最高だろう。
こうして、傭兵達の夜は更けていった。







連載21話です。

いよいよ 今作品のヒロイン(?)ライズの誕生日!

・・・と思いきや、まだ山懸が誕生日を知らなかったとは(^^;!

まぁ 二人とも用心深くて 割と言葉少なめなタイプだからな〜〜〜<誕生日知らない/伝えてない

 で、エミリオさん またまた大活躍です♪

久々のアクション! 堪能してくださいませ〜〜(^^)<読者のみなさま

さて、次回はいよいよライズ誕生日です。

どんなイベントが待ってるのかな?(わくわくわく)

(コメント:小鳥遊さくや)




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