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みつめてナイト フォローストーリー
 ライズ誕生日前夜 〜エミリオとの対決編〜

街を行く男がひとり、エミリオである。
いつもの格闘訓練をするためにカミツレ森林区に向かう途中。
「新年も明けた〜〜〜ことだし〜〜〜、シルベスターはいい〜〜ことなかったし〜〜〜♪」
と呟いているとふと思い付いたことがあった。
そう言えば、そろそろライズの誕生日じゃなかったか?
そしてエミリオの姿はとある店の中に消えた。
キャラウェイ通りの真ん中で、ほくほく顔の男が独り。
「ふう〜っと、こんなもんかな〜〜?」
エミリオはちょっと御機嫌である。
「ライズの誕生日のプレゼントは買ったし♪後は送ってもらうだけだっし♪」
この間はちょっと目立ち過ぎたからなぁ。
目立っていたのはクリスマスのラストダンスの事だ。
相手がクレアさんだった。
それでつい本気で踊ってしまったのがまずかったようだ。
ライズの冷たい視線が目に浮かぶ。
しかし、そうは言いつつもライズ自身結構目立っていたんだが。
まぁ、綺麗なんだから巧みにダンスをこなすだけで目立ってしまうのだが。
まあ、それはそれ。
クリスマスの翌日迄はなんだか御機嫌だったから、俺の事を見ていたなんて思わなかった。
しかも、シルベスターはシルベスターでひとりでどこか勝手に行ってしまうし。
どうやら、あの「山懸」って男と接触をはかっていたようなのだが・・・。
あまり深入りされても困・・・らないか。
ライズには任務ではあっても、俺にはたいして意味をなさない。
叔父上の考えは見え透いているから・・・。


俺にだけ課せられた任務は『ライズを護る』
ってことだけ。
実際、これからのヴァルファバラハリアンの戦況は悪くなっていくだろう。
補給線と、軍資金。
兵数の増強がほぼ不可能と言う点で、第1部隊のネクセラリア隊の撃破が悔やまれる。
まあ、生き残った兵士は他の部隊に吸収するとしても、優秀な指揮官が足りない。
特に先陣と遊撃を主に任せられるネクセラリアの死はかなりの痛手だろう。
俺が指揮官になっても良かったのだが、叔父上がそれを許さなかった。
ライズを護る最後の、彼女だけの『親衛隊』として。
まぁ、大事な愛娘を『ほぼ負け戦』の陣中に入れる訳には行かなかったのだろう。 
だから、いつもの隠密任務と言う訳だ。
それに加え、か弱く、しかも16歳の子娘ごときが隠密活動をしているとは思い付きにくいものだし。

最後の一か八か、かな・・・彼女の最後の任務は。
成功すれば成功したでもう、軍隊にはいないだろう。
違う仕事が待っているだろうし。



「なんか今日は暇だ。」
昼御飯を食べた後に訓練所で呟く山懸である。
ハジメもとっくにパン屋に向かったし。
しかし、休日って言うのは休む為のものだ。
しかし、あんなに働いてあいつ大丈夫なのか?
さすがに俺はそう言うこともできそうにないので、気分転換にカミツレ森林区方面へ向かう事とした。
実際には気分転換になるかどうかは微妙だが。
カミツレ森林区は薬品だか、何かの影響で無気味な感じになってしまっている。
今日は静かに瞑想でもしてみるか。
つぶやきながら駅馬車の方に向かう。

今日は木を仮想敵にしながら剣の型をとる。
そうしているところ。
「はっ!とりゃ!とうっ!」
と言う声がする。
声のする方へ行って見るとクレアさんの周りでまとわりついている男だ。
『エミリオ』と名乗ったっけか。
ふとエミリオが振り返り俺に声をかける
「そんなところで何を見ているんだ?」
気配を出していた訳ではなかった。
しかしこの男は俺が居た事に気がついた。
これからは微塵の隙も出す事はできない。
隙を出したら、やられる。
そんな気がしてならない。
「いい腕をしているじゃないか。」
相手は動きをとめずに答える。
「のぞきをするのはいい趣味じゃないっね〜。」
「そんなにいい動きができるのなら、傭兵でもやればいいのに。稼ぎはいいぞ。」
「お生憎様、俺は戦争には興味がないんでね〜。」
エミリオと言う男はどうやらふだんは軽口を通しているようだ。
自分の腕を下に見積もってもらおうと言う判断なのか?
少しかまを掛けてみよう。
「そうか、この国を守ればクレアさんを守れるって言うのにか?」
しかし質問を予想していたのか、軽くいなされてしまった。
「俺は女性ひとりくらいなら守りきれる自身はあるさ〜。伊達に独りで旅をしてきている訳じゃないからな〜。」
「そうか、その腕もったいないな。」
そう答えると、エミリオはふいに黙り込む。
「そうやって言う事は〜、あんたもいい腕なんだろ〜?」
(これはライズのためにやつの腕を試しておくか?)
「ん?まあな。この国ではそう言う事になっているらしい。」
「じゃあ、やってみるかい?」
言うや否やあっと言う間にこちらに体制を整えて構える。
「腰の2本の短刀は飾りなのか?」
「う〜ん、まだ必要ない、と思うんだな。」
「こっちは真剣しかないんだが、いいのか?」
「大丈夫、まぁ、怪我しても恨みっこなし、と言う事で〜。」
「それならば、参る!」


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