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みつめてナイト フォローストーリー
 夢見る乙女 〜スー・グラフトン編〜 1


翌日の訓練所
昨日の疲れかいつもより少し遅く起きると、朝から元気なハジメの声がする
「いってきま〜〜〜す。」
ドア越しにハジメの声がする。
今日もパン屋にバイトのようだ。
俺?俺の方はライズと出かけた翌日と言う事もあり、実はバイトの休みをとってあったりするのだ。
「今日は後でハジメのバイトの様子でも見に言ってやろうか。」
暇を持て余している俺は誰に言うともなく呟く。
しばらくして身体を起こし、遅めの朝食を取ろうとするとさくやが現れた。
「お〜っ!今日は遅いお出ましだな?さては昨日のデートではしっぽりとやりやがったのか?」
「それならいいけどな、久しぶりに女性と出かけたら気疲れしてしまっただけさ。恥ずかしい事ながらな。」
「いやいや、いいんじゃないか?俺様みたいにいつも女性が群がる様な男ではないからなっ!はっはっはっは!!」
「今はジーン1人だけが目当で、あとは路傍の花のごとくにしか見えてないくせに。」
「わかるかぁ?いやぁ〜わかっちまったか!こりゃぁ、俺様もかなりジーンにまいっちまった様だな。」
「まっ、そのお相手のジーンは全く気がついていないようだが?」
「そのうちなんとかなるだろう。こっちの礼儀ってやつを覚えてなぁ、口説くつもりだからな。」
「ま、頑張ってくれや。」
「おうよっ!ジーン程の女を見逃すたぁ、お前らも女を見る目がないってもんだな。」
「俺自身はこの国に永住権があればいいのでな、あまり女の事は考えてないな。」
「じゃあ、この間のデェトの相手は?」
「それは秘密だ。だが恋愛感情はないな。」
「なんだそいつは!男ってのはよぉ、女は抱く!戦場では斬る!それが全てであろうに!!」
「まぁ、俺なりの考えがあっての事だ。好きにさせてくれよ。」
「まあ、御主の問題だからとやかくは言わねえが、女を泣かすんじゃねぇぜ!」
「ああ、心得ておくとするよ。」
そして食事を終えたさくやは自室へと帰っていった。
1人になった俺は誰にも言わずに呟く。
「好きでこういう生き方をしている訳ではないさ・・・。」

パン屋の扉が勢いよく開く。
「いらっしゃいませ〜。」
「あっ、スーさんおはようございますっ!」
「あら?ハジメクンだったの?お客さんかと思っちゃった。」
「今日もお手伝いに来ました。」
「そうねぇ・・・じゃあ小麦粉をキッチンに運んでくれるかな?」
「はいっ、わかりましたぁ、すぐにやってきますねっ。」
軽い足取りでハジメは仕事に取り掛かった。
「あ〜あ、あれでもうちょっと紳士で頼りがいがあって、年上なら結婚相手に良いんだけどなぁ・・・。」
黙々と仕事をするハジメを横目に、スーは結構自分勝手な注文をつけて呟いている。
「それもこれもあの男がいけないのよっ、私がせっかく結婚をする気になったとたんに『私より若い娘の方が良い』って言い出して、別れるって言い出したし、その次の男だって、『俺はまだ結婚して家庭に縛られたくないんだぁっ!!!』って勝手な言い訳をして逃げていっちゃったし!」
焼き立てのフランスパンを並べながらそんな事をぶつぶつ言っていた。
「おいスーや、あんまりそんな顔をしているとパンが売れないぞ」
「あっ、ごめんなさいお父さん。ちょっと考え事してたから・・・」
「あんまり深刻に悩むもんじゃ無いぞ、それだけ美しく成長したんだから、悩みなんかでせっかくの美貌を台なしにしなくても良いんじゃないか?」
「そうね、また良い人が見つかるかもしれないもんね。」
「ほれ、そろそろ忙しくなる時間だから、店の方は頼んだぞ。」
「うんっ、わかったわ。」




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