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みつめてナイト フォローストーリー
さくやの力量 〜小鳥遊さくや編〜

夜中の傭兵宿舎のハジメの部屋
気分良く酔ったさくやがハジメの部屋に入っていく。
「よぉ、悪いなこんなに遅くなって。うぃ〜」
「平気だよ。猫もぐっすり寝てしまっててさ。」
「そういえばなぁ、そいつの名前決まったぜ。」
「えっ、どう言う名前なの?」
酔って酒臭い息を吐きながらにんまりと笑う。
「『タマ』っていうんだ。」
「ぷっ、はははははは。ありふれた名前だねっ。」
「まぁな、でもこの国では珍しい名前だろう?」
「うんっ、そう言えばそうかもね。」
にこにこした顔で、ハジメも頷いた。
「じゃあ、今日一日そいつを泊めてやってくれ。」
「うん、じゃあお休みなさ〜い。」
「おぉ、じゃあな。」


翌朝
今日はいつもより少し早く目が醒めてしまった。
まぁ、隣のハジメの部屋から、元気な鳴き声が聞こえてしまってはなぁ・・・。
「よいせっと」
起き上がり、ハジメの部屋へ向かう。
扉の目の前に立ち止まったその時に勢い良く扉が開いた。
ゴッ!!
と言う鈍い音と共に額が疼く。
「うっ!」
「うん?あっ!!大丈夫?」
「あぁ、もう少し気をつけてドアを開けろよ」
苦笑しながら、答える。
「そうそう、この猫の名前タマになったんだよっ。」
「へぇ、これはまたなんと平凡な。」
「まあねっ。」
ハジメはクスクス笑いながら答える。
「よろしくな、タマ。」
にゃお〜〜ん
ちょっとゴマをする様な仕草が可愛い。
殺伐とした心をなごませてくれるかの様に。
「よぉっ」
ぽんぽんと山縣の肩をたたきながら、さくやがあらわれた。
「訓練の予定は剣術か?もしよければ手合わせ願いたいのだが。」
にんまりと笑って2人に訪ねる。
「あぁ、じゃあ受けてたとう。」
「そいつは有り難い。御高名な山縣殿と手合わせできるとは。はっはっはっは!」
いとも簡単に物事が進んで嬉しかったのかさっさと食堂の方へ歩いていった。
「あっさりと受けちゃったけど、大丈夫なの?」
「まぁな、こちらもあいつの力量を見たかった事も確かだしな。」
「怪我するかもよっ。」
「まぁ、たぶん大丈夫だろう。さぁ、飯食いに行こうぜ。」
不満そうなハジメに肩に手をまわして食堂の方へ一緒に向かった。


訓練所
さくや用の木刀がないと言う事で、真剣に竹をはめての手合いとなった。
「ははははは、これじゃあ本当に大怪我しかねないな。」
ぽつりと呟く。
実際に木刀でも当たればかなり痛いのだが、真剣の方が重い分当たった時の衝撃は計り知れない。
「お〜っ!!そろそろ始めるか?」
さくやが屈託なく手を振って待ってる。
「こっちも準備オーケーだ。さあ、始めようか。」
さくやは剣のみねで肩をたたいている。
「じゃあ、僕が審判をするねっ。2人とも準備は良い?試合開始!!!」
「余裕だな・・・。構えろよ。」
「俺の剣は我流でね。構えなんてものは決まってないんでね。」
「じゃあ、遠慮なく行くぞっ!!!」
とは言ったものの、構えもない相手に無謀に突っ込んでいくつもりはない。
「そっちから来るつもりはないのかぁ?じゃあ、遠慮なくこちらから行かさせてもらうぞ!!!」
悠然と歩いてくるかと思われていたさくやの姿が見失いかける。
「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
ふつう日本刀での剣術は剣の腹で受け流すのが主流なのだが、あまりの剣勢に受けてしまった。
キーン!俺の手から太刀が落ちる。
「山縣ぁ、これでお前は死んだな。はっはっはっは!」
「確かに戦場では有利そうな流儀だ。次にやる時には負けないからな!」
と言ってもただの強がりだった。
「まぁ、今回は顔合わせっ、と言う事にしておいてやるよ」
にやりと笑って去っていった。
気が付くとハジメが駆け寄って来た。
「大丈夫?」
「あぁ、手がしびれて言う事を聞かないんだがな。」
「怪我しなくて良かったんじゃない?」
「あぁ、まぁな。」
「あんなに強いとは・・・。どうして俺達はあいつの噂をヤポンで聞いた事ないんだろうな?」
「さぁ、わかんないや。でもね、とんでもなく強いって事はわかったね。」
「あぁ、実際ああいう手合いにはハジメの方が向いているな。」
「足でかき回せって言うんでしょう?」
「さすがだな。」
「うふふふ、まあねっ。」
「とりあえず、手首の腱を傷めてると行けないから、医者に行ってくる。」
「その方が良いかも知れないねっ。」


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