小説3 (御曹子×トリマー) 24 目元がうっすらとピンクに染まって、とてもきれいだ。 「声を聞かせてくれ。そうでないと、那月が嫌がっているのか感じているのか解らない。不安になるんだ」 頼む、とささやくと那月の右手がゆっくり口から離れた。 「いい子だ」 チュ、と額にキスをして、再びペニスに手を伸ばす。 「やっ…あっ…あっ、あ…」 「!」 那月の口から出た声に、柊は思わず体を固くした。 声帯の無い那月の声は、吐息を言葉にしたような音でしかない。 その声を聞いただけでいきそうになるなんて、信じられない。 「柊さ…、柊さんっ…やっ、やめっ…」 那月の右手が柊の手首をつかんで、ペニスから引きはがそうとする。 「いやか?」 つうっとこぼれてきた涙を、唇で拭いながら尋ねる。 「ち、ちがっ…、僕だけっ…はっ、はずっ…しい」 「そうか」 一度那月を浴槽のなかに降ろし、着ていたものを脱いだ。 湯の中で那月を横抱きにする。 もう一度、キスからだ。 那月のペニスを慈しむように手のひらで包むと、那月の手がおずおずと伸びてきた。 白い華奢な指が柊のペニスに絡みつく。 「くっ…」 息を止めて、歯をくいしばる。 那月の手の動きは、19歳の男子にしてはとても拙いものだ。 それでも、那月の指が自分に絡みついて愛撫してくれているというだけで、いきそうだ。 かつて感じたことのないような熱が、腰から背中へと這い上がってくる。 今まで、たくさんの男女を腕の中に入れて愛撫してきた。 だが、相手に柊の体を触らせたことはない。 せっかくその気になった体を愛撫されると、煩わしくて萎えてしまうのだ。 どうして那月が相手だと、こんなに感じるのだろう。 もっと、那月にしがみついてもらいたい。 もっと、那月の手で触れてもらいたい。 「あっ…柊さ…ん」 お返しのように那月のペニスを扱くと、またあの素晴らしい声が聞こえる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |