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小説3 (御曹子×トリマー)
22
柊は目的があってここにいるのだ。
己の利益のためには、途中で放り出していくわけにはいかない。

「だいたい、何か誤解があるようだが、俺は怒ってキスしたわけじゃない」
「そ、なの?」

「那月がかわいかったから、キスしたんだ」
那月は一瞬びっくりした顔をしてから、はあっと大きく息をついた。

涙は完全に止まったようだ。
顔から手を離して、髪を撫でてみる。
湯気で湿っているが、手触りの良い柔らかい髪だ。

「キスは嫌じゃなかったのか?」
柊の問いかけに、那月は少し首をかしげて考える。

「…ドキドキして苦しくなったけど、嫌じゃなかった」
「そうか」

那月の顔を持ち上げて、ゆっくり唇を押し当てる。
舌を出すと、素直に口が開いた。
歯の裏側をなぞって、上あごをくすぐってみる。

「んっ…」
細い肩が揺れた。

小さくて滑らかな舌を絡め取る。
「んっ…ん、ふっ…」

那月の体から力が抜けて、後ろに倒れそうになるのを、腕で支えた。

那月の快感を呼び覚まそうと、口内のあちこちを舌で探る。

上あごが弱いようだ。
舌でなぞると、必ず肩を揺らす。

那月の快感を呼び覚ますためのキスが、いつの間にか柊の快感を煽る。

熱が腰から這い上がってくる。
ペニスが大きく膨らんで、じんじんと痺れたように脈打っているのがはっきりとわかる。

どうして那月が相手だと、キスだけでこんなに感じてしまうのか。

那月がぐったりとしてきたので、嫌々ながら唇を離す。

顔が赤くなって肩で息をしている様子はとてもかわいいが、湯でのぼせたのではと心配になった。

那月の両脇に手を入れて、浴槽から引き揚げようとすると、
「やっ…!」
嫌々と首をふって、体を固くする。

「のぼせただろう。もう上がったほうがいい。体を拭いてあげるから、おいで」
自分でもびっくりするくらいの甘い声が出た。

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あきゅろす。
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