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小説3 (御曹子×トリマー)
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朝食のテーブルで、皿の上に乗ったニンジンをつつきながら、那月がふいに尋ねてきた。

「あるといえばあるが…」
柊は、那月の手元を見て、眉をひそめる。

那月はニンジンが嫌いだ。
それでも、出された物は食べなくてはいけないと思うのだろう、皿の上でさんざんつつきまわすのだ。

那月の手からフォークを取り上げ、ニンジンをまとめてすくい取り、
「口をあけろ」
と、小さな口につきつける。

「う…」
渋々ひらいた口に、ニンジンを突っ込んだ。

「何か用でもあるのか?」
ミルクの助けを借りて、ようやく口の中のニンジンを飲み込んだ那月が、うんうんと何度も頷く。

「ここに来ることもあるかもしれないから、お店の人たちに、柊さんを紹介しておかなくちゃと思って。…本当はあんまり会わせたくないんだけど」

「なんで俺に会わせたくないんだ」

「だって、柊さんは優しくてきれいで格好よくて、何でもできるでしょ。店の人たちに取られたらいやだから」

「なにをバカなことを…」
口ではそっけなく言い放っても、那月の告白とも取れる言葉に、目元が赤らんでくるのがわかる。

「だって、本当のことだよ」

もう駄目だ。
これ以上、那月の向かいに座っていたら、真っ赤になってしまう。

コーヒーを淹れるふりをして立ち上がった。

「11時ころなら時間が空く」
背中越しにそう言うと、

「じゃあ、11時に店に来て」
と、返事が返ってきた。



那月との約束どおり、柊は11時きっかりに庭を横切ったところにあるトリミングの店の裏口をそっと開いた。

やはりこの店も、那月と同じで少し変わっていた。

トリミングショップ、いわゆる犬の床屋なのだが、普通そういった店には、たいがいドッグフードなどの犬関連の品物が売っているものだ。

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あきゅろす。
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