小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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〈これは…、告白なのか…?〉
だが、喜ぶのはまだ早い。
もう一つ聞いてからでなくては…。
「一つ聞きたいんだが…。その、俺に対する好きという感情は、お前が麻や森の動物たちに向けるのと同じレベルのものではないのか?」
「っ…ちがっ…ちがいますっ…。麻さんや動物たちにこんな気持ちにならない。…こんな気持ちの大好きは…主夜さまだけ…」
紫陽をぎゅっと抱きしめる。
幸せだ。
「紫陽、顔をあげろ」
「やっ…」
「…しかたないな」
毛布の中に無理やり手を入れて、体を縮める紫陽のあごに指をかけ、こちらを向かせる。
「あ…」
大きな瞳からは、まだ涙がこぼれている。
今までは紫陽の気持ちが解らなかったし、無駄に怖がらせてはいけないと思って、啄むようなキスを頬や髪に落とすだけだった。
だが、これからは違う。
〈お互いに好きだと解ったのだから、紫陽は俺のものだ〉
唇を重ねて、紫陽の呼吸さえ奪ってしまうほどのキスをした。
「ふっ…」
唇を離すと、小さな口から息が漏れた。
紫陽の額にかかっている髪をかき上げると、大きな瞳が不安そうに主夜を見上げている。
「…これでは答えになっていないな。…俺は他者に対してそう優しいほうじゃない。好きでもない者に、たとえ頬でも、キスなんかするものか」
「え…」
「お前を、愛している」
紫陽がまじまじと主夜の顔を見上げたので、細い首についている赤黒い痣が目についた。
思わず顔をしかめて、首のあざにそっと触れると、紫陽の体がびくっとふるえる。
その拍子に毛布がはだけて、パジャマのボタンがすべてなくなっているのが解り、主夜の機嫌は急転直下だ。
「誰に、やられた?」
「し…俊也に…」
紫陽の喉がこくっと鳴る。
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