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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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「でもっ…」

「怖いですよね。私もそうでした。…では、こうしましょう。紫陽さんが本当のことを話して、主夜さまが呆れたり笑ったりしたら、私のところへいらっしゃい。紫陽さんがしっかり自分の足で立てるようになるまで、黎さまと私が紫陽さんを支えてさしあげます」

「…」
「怖がることは何もないんですよ。紫陽さんは自分で思っているよりずっと、愛されているのですから」

「本当…?」
「ええ、本当です。今夜は、私の部屋にも紫陽さんのベッドを用意しました。万が一、紫陽さんの話を聞いた主夜さまが馬鹿にしたりしたら、迷わず私の部屋へ駈け込んでいらっしゃい。部屋はわかりますね?この部屋の真向いのドアですよ」

「…はい」

星は毛布の隙間から出ている紫陽の髪を少し撫でて、主夜ににっこりほほ笑みかけ、書庫を出て行った。

星がいなくなって、紫陽と二人きりになってみると、主夜はどうしたらいいのかわからない。

我ながら不器用であるとは思うが、先ほどかっとなってあんなに紫陽を責めてしまったのだ。

もしかしたら、いや、もしかしなくても、紫陽は自分を怖がっているだろう。

紫陽のそばに寄ることもできずにただ立ち尽くす。

「…ない」
しばらくたって、紫陽が毛布の中から何か言った。

「え?」
聞き取れずに、数歩そばによる。

毛布の中で紫陽の体がふるえたのが判った。
それを見てしまったら、主夜はもうお手上げだ。
どうすることもできずに、紫陽の次の言葉を待った。

「あそこに…、小屋にこだわっていたわけじゃ…ないです」
「では、なぜそんなにあそこに帰りたいんだ?」

「だって…。主夜さまはあと少ししたら戸隠へ帰ってしまうから…。ここはぼくにとって居心地がよすぎて、独りになった時に辛すぎる…」

〈独りになる…?どこをどう取ったらそういう事になるんだ。俺はこの家で暮らせと言ったはずだが…〉

主夜が考えているうちに、紫陽がまた話し出した。

「主夜さまは優しいから、ぼくの事かまってくれて…。だけどぼくは…ぼくは主夜さまがぼくのこと好きになってくれたんじゃないかって勘違いしそうになって…。だからっ、主夜さまが、さよならって帰ってしまった後に、辛くならないように、あんまり近づきたくなかった…」

…これは、遠回しの告白だろうか?
主夜の心臓が早鐘のように打つ。

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あきゅろす。
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