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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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紫陽が夕方まで座っていた椅子。

紫陽が開いていた本。

紫陽が…。

自分は強いと思っていたが、大きな間違いだったと知って、やりきれなくなる。

もう寝ようかと立ち上がったとき、玄関のドアが開く気配がした。

〈紫陽か?〉

この夜中にそんなわけはないと思いつつも、玄関へと急ぐ。

「紫陽さん、とにかくこちらへどうぞ」
星の声がする。

紫陽だ…!

主夜はほとんど走るように、玄関へと出た。

「あ…、主夜さま…」

紫陽が主夜の顔を見るなり、大粒の涙をこぼした。

紫陽の唇は切れて、うっすらと痣ができている。

パジャマ姿でぎゅっと襟元をつかんでいるので、手首にくっきりと赤黒い指の跡がついているのが見える。

しかも素足だ。

主夜の顔が怒りのためにすうっと白くなった。
酔いもすっかり醒めてしまう。

「誰に、やられた?」

紫陽を怖がらせないよう、大声を上げないでいるのがやっとだった。

「主夜さま、今はとにかく紫陽さんを中へ」

星がいつの間に持ってきたのか、毛布で紫陽をくるみ、そっと主夜のほうへ押しやってきた。

肩を抱いてみれば、紫陽が細かくふるえているのが解る。

ひざ裏に手を入れて、ひょいと抱き上げた。
「あ…」

「もう大丈夫だ。何も心配いらない」
主夜にそう言われて、紫陽の涙がどっとあふれ出す。

「麻はもう寝てしまっているだろう。星、すまないが紫陽になにか落ち着く飲み物を作ってやってくれ」

「はい」

書庫のソファに紫陽を降ろし、唇の怪我を見ようとしたとき、首にもはっきりと指の跡が残っているのが見えた。

多分、主夜が一瞬恐ろしい形相をしたのだろう。紫陽が怯えたように主夜の指から顎を外し、毛布に顔をうずめてしまった。

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