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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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「紫陽坊ちゃまを迎えに行ってくださいまし」

「いや、だが、しかし…」
迎えに行って紫陽に嫌な顔をされたら、どうしよう。

そう考えている自分に嫌気がさす。
どうしてこんなに急に、自信がなくなったのか…。

「だがしかしじゃございませんよ。紫陽坊ちゃまは麻に、遅くても1時には戻りますとおっしゃったんでございますよ。もう3時を過ぎているじゃございませんか。きっと何かあったんでございますよ」

「うむ…」

「うむって…。どうなさったんでございます。主夜さまらしくもない」

「麻、紫陽はここに戻って来たくないかもしれない」

「まあ、何をおっしゃいますやら。紫陽坊ちゃまはここが大好きなんでございますよ。先ほどもあまり陰陽寮へ行きたくないご様子でしたので、行きたくなければ麻がお断りいたしますと申し上げましたら、大丈夫、とおっしゃって。ここに戻ってくるようにと主夜さまがおっしゃったので、行きたくなくても行くことができると、大好きな場所に戻ってこられるのは嬉しいと、笑っておられました」

大好きな場所、そう紫陽が言ったのか。

「…迎えに行ってくる」
「はい、そうしてくださいまし」

主夜の家から陰陽本家まで、ほんの100mほどの距離しかないが、初日に陰陽の頭に招かれてお茶を飲んで以来、ここに足を向けたことはない。

紫陽がどこで怪我人を癒しているのか解らない以上、本家で誰かに聞くのが一番早いだろうと、古い引き戸の玄関を開けて、驚いた。

紫陽が玄関のたたきに、体を丸めて横たわっていたのだ。

思わず抱き上げて、紫陽の体の冷たさに怒りがこみあげてくる。

玄関の気配を感じ取ったのだろう。
廊下の奥から、こちらに向かってくる気配がする。

「主夜さま、本日はどのような御用でこちらに?」
玄関に出てきたのは、陰陽の頭、信也だ。

「どのような用で、だと?」

主夜が信也を睨みつける。

「紫陽は、なぜこんなところで寝ていたのだ」

「紫陽さまは玄関を出ようとしてお倒れになったようですな。ご気分が悪いのやもしれません」

「なんだと…」
腕の中に紫陽がいなければ、信也を殴り飛ばしていただろう。

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あきゅろす。
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