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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
19
「大丈夫ですか?お二人とも」

「ちっとも大丈夫じゃないよ。星、そばにいておくれ」
星の手を握り、膝に抱き込もうとしている黎に、主夜はげんなりした顔をする。

「黎さま、主夜さま、客人が参っておりますよ」
開け放したドアをノックして、麻が姿を現した。

声をかけられた二人が慌てて座り直したのを見て、星が笑いを隠すように後ろ向きになる。

「陰陽の者二名と名乗っておりますが、ここに通してもよろしゅうございますか?」

先ほど、言いたいだけ小言を言ってすっきりしたせいか、顔も声もいつもの優しい麻だ。

「ああ、頼む」
「はい」

「麻」
廊下へ引き返そうとした麻を主夜が呼び止めた。

「何でございましょう?」
「その…、さっきはすまなかった。もし麻がここで暮らし難かったら申し訳ないと思って、母上のところへ帰れと言ったのだが…。急に環境が変わると、辛いだろう?」

今まで麻は人間とほとんど接することなく暮らしてきた。

戸隠ならばそれで済むが、ここではそうはいかない。

「まあ、なんてお優しいんでございましょう。大丈夫ですよ。第一、麻がいなかったら、誰が皆様方の身の回りのお世話をするのでございます?ご心配なく。麻はこう見えても、主夜さまが思っていらっしゃるよりずっと順応性が高いんでございますから」

「そうか。どうしても辛くなったら、遠慮せずに言ってくれ」

「ありがとうございます」

ほどなくして、二名の若者が麻に伴われて書庫に姿を見せた。

「俊也(しゅんや)と申します。このたびは私のために教育者をお引き受け下さり…」

「ああ、いいって。堅苦しい挨拶はいらないよ」
黎が型通りの挨拶を述べる俊也をさえぎった。

「はい」
俊也が顔を上げる。
目の高さが、黎より少し低いくらいだ。

「君が俊也か。僕が黎、君の教育者だよ、よろしくねっ」

言葉とともに差し出された黎の手を、俊也が恐る恐る握る。

「それから、こちらのきれいな鬼は星。星のことは好きになっちゃだめだよ。僕のだから。そして、あちらの鬼女は麻。この家のスーパーバイザーさ。最後に、僕と同じくらい背の高いのが主夜。紫陽ちゃんの教育者だよ」

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あきゅろす。
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