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小説1 (高校生狼男×高校生占い師) 完結

今日は駅のほうではなく、雅の父親が仕事(もちろん、読未示の仕事だ)に使っている、南青山の家に向かう。

学校から歩いて15分くらいのところだ。

歩きながら、自然に笑みがこぼれてくる。
“僕の頭に触ってもいいのは、世界中で蓮ひとりだけ”
雅はそう言ったのだ。

もし今、狼の姿をしていたら、俺の尻尾はプロペラのようにくるくる回っているはずだ。

「なあに、蓮。一人でうれしそうな顔して」
雅が俺の顔をのぞき込んできた。

思わずその唇をぺろりと舐めそうになって、あわてて自分を戒める。

ここは公道で、俺は今、人の姿をしている。
絶対に雅の唇を舐めたらいけない。

無邪気な雅は、俺が狼の姿のときに顔や唇を舐めても、大喜びで俺を抱きしめてキスを返してくれる。

だが、人の姿をした俺がそんなことをしたら、雅を怯えさせるばかりか、きっと遠ざけられてしまうだろう。

舐める代わりに、手を伸ばして柔らかい髪に触れる。
「なんでもない」
「そう?ね、まだ時間あるよね。僕、お腹すいちゃった。ラーメン食べたい」

雅は小さくて細いくせによく食べる。

「食っていくか」
俺はいつだって、雅には甘い。

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