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小説1 (高校生狼男×高校生占い師) 完結
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そっと膝に触れてみると悲しみの感情が膨れ上がったのが、はっきりと伝わってくる。

お手上げだ。

周りに人がいなかったら、狼の姿になって、雅の感情の渦が収まるまで、ソファの下へでももぐり込んでしまいたい気分だ。

日下部の屋敷の門を入るなり、俺は雅の手を握った。

振り払われないのをいいことに、そのまま防犯カメラに映らない木の陰に引っぱっていく。

相変わらず黙り込んでいる体を抱きしめて、細い肩に顔を押し付けた。

小さな手が、俺の背中に回ってくる。
その手が、今度は大きな不安を伝えてきた。

「蓮」

ドロドロとした感情の渦とは裏腹に、俺の名を呼ぶ雅の声はとても静かだ。

「蓮はなんて答えたの?」
「何のことだ?」

「大河原さんに結婚の意思はあるのかって聞かれて、蓮はなんて答えたの?」

「ああ。答えてない」
「え?」

「答えていない。彼女にそう聞かれたとき、ちょうど田口と話をしていた雅が、声をあげて笑ったんだ。それで焦って会議室を飛び出した」

「飛び出したって…、話の途中だったんじゃないの?」

「くだらない質問より、雅が田口と楽しそうにしているほうが気になった。俺は妬きもち妬きなんだ。子犬だって雅に近づけたくない」

雅の感情の渦が、すうっと収まった。
もう、いつもの穏やかな気持ちで、俺の背中に手を当てている。

「キスしていいか?」
「えっ?」

「キス。キスしたい」
「いいけど…」

ここで?と言いたげな瞳を閉じさせて、唇を押し当てる。

滑らかな舌を絡め取り軽く吸うと、雅の膝がふるえはじめた。

何が原因で、雅があんなどろどろの感情を持ったのかわからないから、どうしていきなり、こんなに穏やかな気持ちになったのかもわからない。

でも、もうあんなに苦しそうな感情を持たないでほしいという願いをこめて、口内を丹念に愛撫する。

「んっ…」

かくんと膝から力がぬけてしまった体を支えて、ゆっくり唇を離した。

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あきゅろす。
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