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小説1 (高校生狼男×高校生占い師) 完結

校舎に向かって雅と二人で歩いていると、時々小さな悲鳴に出くわす。
女学院に通う女子だ。

育ちがいいから、大っぴらに声をあげたりしないが、雅と俺を見てひそひそとささやき合い、顔を赤らめる。

聞いたところによると、かなり前から雅と俺は、ある種の女子にもてはやされているらしい。

雅はこういうことに疎いから、騒がれていることすら知らないだろうが、俺としてはちょっといい気分だ。

「おはよー!みやちゃん、蓮!」
後ろから元気な声がかかった。
見なくても誰だかわかる。
草薙・由羅<くさなぎ・ゆら>だ。

由羅の父親は、世界の鉄鋼王だ。
親の権力が、そのまま生徒間の力関係になるこの学院のなかで、由羅の地位は高い。

当人は意識していないようだが…。

俺たちが立ち止まると、由羅が走り寄ってくる。
その後ろから歩いてくるのは、榊原・朱牙<さかきばら・すさ>だ。

女子のささやき声がいっそう大きくなる。
噂では由羅と朱牙は、ある種の女子のなかで、俺たちと人気を競っているらしい。

「ねえねえみやちゃん。昨夜のドラマ見た?」
「“ドクター○太郎”のこと?」
「そうそう!すっごいカンドーしたねっ」
「そう?」
「もう!みやちゃん、リアクションなさすぎー」

雅と由羅のとりとめのない話が続く。
この二人は体つきがよく似ていて、並んでいるとまるで兄弟のようだ。

「おはようございます」
甘い声がして、朱牙が俺の左側に並んでくる。

朱牙は俺と同じような境遇で、幼いころから由羅の世話係兼ボディガードとして、ずっと由羅のそばにいる。

それだけじゃなく、由羅と朱牙は心も体もしっかりと結ばれていて、時折こちらが恥ずかしくなるほどの甘い雰囲気を出してくれる。

前を歩く雅と由羅を見ていたら、ふと由羅のくびすじにあるキスマークが目についた。

見てはいけないものを見てしまったような気がして、めをそらす。

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あきゅろす。
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