小説1 (高校生狼男×高校生占い師) 完結 24 「ん…」 舌をからめとって吸う。 胸が、痛いくらいにドキドキしている。 何度、こんな夢を見ただろう。 唇を離して、大きな瞳をのぞき込んだ。 「な…ん…で?」 とぎれとぎれに言葉をつむぐ唇。 顔が真っ赤になって、肩で息をしている様子が、たまらなくかわいい。 「何が?」 「なんで?同情なんかでキスしてくれなくていい」 「俺は同情でキスするほど、優しくない。雅の“好き”と俺の“好き”が同じだったから、キスしたんだ」 「う…そ」 「嘘じゃない。俺は小さいころから雅が好きだった」 「だって、この前、学校の中庭で大河原さんと…」 あれを見たのか。 教室の窓からだったら、抱き合っているように見えたかもしれない。 「あれは、彼女が転びそうになったから、支えただけだ。キスしたいと思うのは、雅だけ」 顔中に俺のキスを受けながら、雅はぼうっとしている。 「?聞いてるか」 「あ…、うん…、信じられなくて」 「俺が嘘を言っていると思う?」 「そうじゃなくて、夢みたいだから」 「俺もだよ」 もう一度、今度は優しく唇を重ねる。 舌で上あごをなぞってみると、細い肩がふるっとふるえた。 俺とのキスが気持ちいいと思ってもらえるように、口内を丹念に愛撫する。 雅を気持ちよくするはずのキスが、俺の快感をあおる。 腰がぞくぞくして、ペニスが痛いほど張りつめているのがわかる。 「れ…ん」 キスを止めると、大きな瞳が開いて、俺の名を呼んだ。 本人は無意識なのかもしれないが、雅のすべてが俺をあおる。 我慢できなくて、桜色の耳朶を口に含んだ。 「あっ…」 かわいい声だ。 首に唇をすべらせる。 なめらかで、きめが細かい。 舌を出して、たったいま唇をすべらせた場所をなぞる。 狼の習性なのだろうが、雅の肌に唇や舌をつけて舐めることが、たまらなく楽しい。 パジャマの襟元から、きれいな鎖骨がのぞいている。 ボタンを一つだけ外して唇を押し当て、少しきつく吸った。 「あっ…」 赤い跡がつく。 それを指でなぞると、くすぐったそうに首をすくめた。 雅じゃないが、本当に夢のようだ。 もう一つボタンをはずした。 透き通る様な真珠色のつやのある肌。 そこに、美しいピンク色の飾りが二つ。 あまりにきれいで、手をすべらせながらため息が出た。 ここに唇を押し当てたら、雅は嫌がるだろうか。 「蓮」 静かな声で呼ばれて、はっとした。 夢中でボタンを外してしまったが、雅の許可を得たわけじゃない。 ついさっき斎藤に襲われて怖い思いをしたばかりなのに、ここで俺が行為に及んだら、嫌われてしまう。 「すまなかった」 パジャマのボタンを留めようとした俺の手を、雅の両手がつかんだ。 「そうじゃない。…灯り、消して。それから、僕だけ裸になるのは恥ずかしいから…」 蓮も脱いで、と言う。 「そんなことをしたら、途中で止められなくなる。お前を滅茶苦茶にしてしまうかもしれないぞ」 「いいよ。蓮になら、なにされても」 もう駄目だ。 雅が途中で気持ちをひるがえして、もう止めてと言ったとしても、引き返してはやれない。 部屋の灯りを消して、服を脱ぎ捨てベッドに入る。 俺の目が暗闇でも見えることを、雅は知らないのだろう。 毛布の中でごそごそとパジャマを脱いでいた雅が、腕の中に入ってきた。 肌が触れ合うと、それだけでいきそうになる。 優しく、傷つけないように抱かなければならないのは分かっているが、そうできる自信がまるでない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |