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小説1 (高校生狼男×高校生占い師) 完結

言い遅れたが、俺は山神・蓮<やまがみ・れん>18歳、正真正銘、本物の狼男だ。

そして、俺の腕の中にいる小さくてかわいいやつは、日下部・雅<くさかべ・みやび>読未示<よみし>。

読未示とは何かというと、読んで字のごとく、未来を読んで示すもののことだ。

平たく言えば、外れのない占い師、または預言者といったところか。 

なぜ高校生の読未示と、同じく高校生の狼男が一緒にいるのかというと、古いしきたり、家の決まりみたいなものがあるからだ。

雅の生家、日下部家は、遠く卑弥呼の時代の前から、民を導いてきた読未示の家系だ。

三千年の長きにわたり、つぎつぎと読未示を生み出し、民だけでなく、世界中の政治や経済を動かす者たちから依頼を受けて、未来を読んできた。

そういった実力者たちの依頼を受けるということは、危険を背負うことにもつながる。

せっかく未来を読んでやったのに、依頼人から“世の中の裏側を知りすぎた”と、刺客を差し向けられてしまうのだ。

読未示は、他人の未来は読めても、自分の未来はまったく読めないから、危険にさらされていることすら気づかないことが多い。

それでは、命がいくつあっても足りない。

そこで、いつのころからか日下部の家は、次の当主となる未来を読む才能を持ったものが出てくると、同じ年に山神家に生まれた男(由緒正しい狼男ということだ)を、ボディガードとして迎え入れるようになったのだ。

そうなったのは、気の遠くなるような昔のことだと聞いている。


駅の目立たない場所で雅を腕から降ろし、時計を見てほっとした。
いつもの時間より5分早い。

「間に合ったね」
雅が俺を見上げて、にこっと笑った。

遅刻しそうになったのは誰のせいだ、と思うが、この笑顔にやられてしまう。

かわいらしいこと、この上ない。

「よかったな」
思わず柔らかい髪を撫でる。
本当にこいつは、髪の先までかわいらしい。



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あきゅろす。
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