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小説1 (高校生狼男×高校生占い師) 完結
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「雅、あと10分で依頼主が来るから、部屋へ行って気持ちを落ち着けるといいよ」
「はい」
雅が素直に頷いて立ち上がった。

「ああ、蓮はここに残りなさい。話がある」
雅と一緒に立ち上がって応接室を出ようとした俺を、尚さんが呼び止める。

「はい」
俺は座りなおした。

雅と俺の距離が離れる。
なれない場所で雅と距離的に離れると、どうしようもないイラつきに苛まれるようになったのは、いつごろからだったろうか。

雅が部屋を出て、ドアが完全に閉まったのを確認してから、尚さんがニッと笑った。

雅の前では絶対に見せない、何かたくらんでいるような人の悪い笑みだ。
俺は、早く要件を言えとばじかりに、尚さんを見た。

「そういう顔をすると、奏にそっくりだねえ」
尚さんの後ろで、奏さんがムッと顔をしかめる。
俺が自分に似ているのが、そんなに不満なのか。

尚さんがニヤニヤ笑いながら身を乗り出してきた。
「蓮は。雅のことを、どう思っているのかな?」
「どうっ…て…」

「嫌いじゃないだろう?」
「それは、まあ」
俺は口ごもる。

365日、あんなにかわいい笑顔をむけられているのだ。嫌いになれるわけがない。

だが、雅も俺も男である。
雅が好きだと言ったところで、尚さんに賛成してはもらえないだろう。

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