落ちる夢の話(夕張ろ) 1〈夢〉 落ちる夢を見た。 言葉が足りないと思うかもしれないが、補足する事は何もない。 落ちていく、それだけの夢なのだ。 気が付くと既に、身体は一直線に下へと向かっていた。 底があるかは分からない。 上を向いたままの姿勢で落ちているのだから。 縦横も分からぬから、空間の認識も出来ない。 自分の身体ははっきりと見える癖に、それ以外は黒しかない。 真っ黒な世界の中、唯一色を持つ私が、下降し続ける。 闇から闇を通り闇へ向かって、ただただ、落ちて、落ちて、落ちて、落ち……。 ふと瞬くと、私は覚醒していた。 [次へ#] |