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Soldier Of Fortune(紺碧の空)完(続くかも)
【Peiraieus】:ギリシャの港湾都市。首都アテナイとの間の街道に両都市を囲む城壁から延長された2枚の城壁が築かていた。 しかし、前86年にローマの攻撃をうけてほぼ壊滅した。
 崩れかけた城壁に囲まれた、滅びた港湾都市。ペイライエウスに、ボートは到着した。ローマ帝国に征服されたまま百年以上も放置されており、その荒れ果てた町並みからはかつての栄光の影すら見ることは出来なかった。
「思ったより誰もいないな」
誰もいない訳ではないようだった。既に一隻のヨットが港に停泊している。何となく、嫌な予感がした。長年の勘は当たるものだから、余計嫌だ。
「待て」
予想通り、一人の女が現れた。全身真っ白の装甲服に、薄緑色のヘッドキャップ。いかにも近未来なその服装は、キサラギの制服だ。
「お前、エトヴァス……こんな所で会う事となろうとはな」
「06、貴様、何故ここにいる」
「先輩あいつ誰っすか」
06は恐ろしいほど落ち着いた物腰で俺たちの前に立ちはだかっていた。銃も持たず、一切の武装は無い。
「エトヴァス。大方お前達も、パンドラの箱が目当てだろう」
「キサラギも箱を狙っているのか」
「てことは、同業者っすか?」
フェアレスがアサルトライフルを構える。
「発砲許可を」
「待て」
俺は歩みを進めた。奴の真意を確かめなければならない……距離七mほど。俺は止まった。
「SOFなどにあれを渡すわけにはいかない。お前達にはここで消えて貰おう」
「させるか!」
「待てってば!」
フェアレスが走り出した。銃を乱射するが、弾筋は女に近づくと逸れて行った。
「止まれっ!」
俺が前から正拳突きをすると、小鳥が踏みつぶされたような声を出して彼は倒れた。勢いでザックからピッケルが前方に飛び出し、それは地面につくと同時に激しい音とともにひしゃげた。
「な……何? 今の」
「危ないところだったな」
俺はほっと胸を撫で下ろす。女に振り返った。
「貴様の能力が半径六m以内でしか働かないことくらいは知っている」
「フフフ、それはどうかな……」
遥か遠くの大木がへし折れた。マジかよ……!?
「先輩! どうするんすか」
「ああ、逃げろ」
ところが、予想外のことが起きた。そのへし折れた木の背後から、巨大な歩行戦車が現れたのだ。三つ足のその戦車は、凄まじい速さでこちらへ突進してくる。女はそれに気付いていないようだった。
「おい、何だよあれ!」
「え?」
三脚戦車は細長いマニピュレータを展開すると、06を背後から掴み上げた。
「きゃああああっ! 助けて!」
「くそっ」
フェアレスが発砲するが、一向に効果が無い。
「おい、あいつを助ける必要は無いぞ。俺達は早く逃げよう」
後ろを見ると、さらに二輛の三つ足に囲まれていた。


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