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境界線上のエリア (薩摩和菓子)
傍観しか出来ない葬式
二日後、彼女の葬儀が行われた。その前に火葬にするか、土葬にするかで問題があったらしい。父方の家系がキリスト教信者で土葬を主張したのに対し、母方は仏教に則った火葬を主張。結局世間に当たり障りないという理由で火葬が選ばれた。自分としても、腐敗しかかった身体で復活されるよりは、生まれ変わった方が良いと思う。
自分は彼女の唯一の友人として葬儀に出席した。正直葬儀についてはあまり覚えていない。遺体との対面が出来なくて、漠然と彼女の身体が仮に復活しても使い物にならない程に破損していたのだろうと思った事、煙が出ない筈の煙突から朧気に出ていった何かを追いかけて行った事ぐらい。そして、その先には足元の空間に沈みそうになりながら、足を持ち上げ歩行する巨大ロボットがあった。
煙は背面に沈み、前面から浮き出る。煙と触れている面が淡く光り、波紋となって全体に広がる。膝に当たる部分から聞こえる不快な音が軽減されていく。
そこでは幾つもの煙が一つの方向に向かっていた。直に椎の遺骨を載せた霊柩車も向かうであろう方向へ。

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あきゅろす。
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