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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 翌25日、武井と小川は、青木の戸籍謄本を見るために、横浜市役所へと出向いた。
「今朝方、連絡をしました警視庁捜査一課の武井ですが。」
「はい、少々お待ち下さい。」
 受付の人はそう言って、奥の方へと入って行った。
 少し経って出て来ると、
「確かに今朝、連絡を頂いたことを確認出来ました。警視庁の武井警部ですね。警察手帳を拝見させて頂きます。」
 と、武井に向かって言った。
(個人情報の管理体制が随分しっかりしているな。)
 と、武井は思いながら、自分の手帳を開いて見せた。
 戸籍謄本を見せてほしい、と武井が願い出ると、受付の人は、二人を中へ通してくれた。
 膨大な書類の中から、武井は、青木という苗字と、栗原から教えて貰った彼の住所をもとに戸籍謄本を探していった。
「ガワさん、見つかったよ。やはり、彼が青木修平らしい。」
「やっぱりそうでしたか。下の名前を聞くのは不審に思われるから避けましたが、これで間違いありませんね。」
「ただ、唯一の問題は、青木修平というのは実在する人物なんだ。つまり、青木修平として生まれたことになっている。」
「……それじゃあ、青木は今川周平じゃない、ということですか。」
「基本的に、戸籍謄本をいじることは出来ない筈だから、普通ならそういうことだな。」
「しかし、私は彼しか今川である可能性はないと思っていたのですが……」
「それは私も同感だよ。何かしらのことがあって今川と青木が入れ替わったんだと思う。」
「そんなことが果たして出来ますか。」
「一筋縄ではいかないだろう。まず、本物の青木が、誰にも知られずに死んでいる必要があるんだ。」
「まさか、それも今川が、えー、つまり、現在の青木が殺したということですか。」
「分からない。可能性は半々といったところだ。どうやらまず、この青木修平の生い立ちから調べなければならないかも知れん。」
「それなら、私がやりましょう。必ず、青木の尻尾をつかんでみせます。」
「よろしく頼むよ。」

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