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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 病院に着いた武井と小川は、真っ先に集中治療室へと急いだ。
 先に到着していた津野が状況を説明してくれた。
「どうやら話によると、東名高速道路の川崎インターチェンジで、料金所に向かって減速をしたときに後ろから追突されたそうです。後続車は大型トラックで、時速80キロ以上は出ていたらしく、元西の車は料金所に突っ込んで大破したそうです。担当した医師の話だと、生きていたのが奇跡的なことだそうです。」
「後続車の運転手はどうなったんだ。」
「現行犯で逮捕されたそうです。どうも、暴力団の黒沢会花山組の者と思われるようです。」
「そうか。暴力団を使ってきたとなると、四課にも手伝って貰わないといけないかも知れないな。今、元西君の容態はどうなんだ。」
「一応落ち着いて来ていますが、まだ意識が戻らないそうです。脳波に一時異常が見られたそうなので、最悪の場合、記憶喪失や、植物状態になる恐れもあるそうです。」
 と、津野は説明した。
「……記憶喪失ですか。参りましたね、警部。」
「ああ。これじゃあ結局、犯人につながる情報を再び失ったことになる。」
「え、一体どういうことですか。元西さんが何かつかんだんですか。」
 と、津野は聞いた。
「そういうことになる。今日の9時くらいに電話が掛かってきて、今川周平の行方と正体をつかんだ、みたいなことを言っていたよ。」
「ということは、元西さんは真相を知った為に消されそうになったのですか。」
「恐らくそうだ。元西の所持品を見せてくれないか。」
「……それが、車が大破と同時に炎上し始めたために、元西さんの所持品は焼けてしまったそうです。唯一残ったのが、胸ポケットに入っていた手帳と財布、名刺が1枚だけです。」
 津野はそう言って、ビニールに入ったそれらの物を取り出した。
 武井は手袋をして、元西の手帳を開いてみた。
 ほとんどのページには、元西の個人的な内容が書き込まれていた。中には、私立探偵の仕事に関わることも記されてはいたが、今回の事件に関することは極端に少なかった。
 しかし、その中で、武井は3月20日と23日の日付の所についていた丸印に注目した。どちらも小さく「SA」と書き込まれていた。
「ガワさん、このSAが犯人のヒントじゃないかな。」
「そうかも知れませんね。ただ、それは何を示すのでしょうか。」
「犯人のイニシャルじゃないかな。初めから目星をつけていて、一度会った上で、私が渡した資料とのつながりもあったから、23日に再び会った。」
「それで元西さんは確信を持ち、逆に相手の方は真相がばれたと思って手を打ったわけですか。」
「そうだと思うんだが。とにかく、このSAが全ての鍵を握っているだろう。ガワさん、もう一度頭から今回の一連の事件を整理してみようじゃないか。」

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あきゅろす。
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