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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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「……はい。」
「わかりました。それは残念ですが、仕方ありません。私はこれで失礼しますが、青木さん、少し話があるので来てください。」
 中村と青木は、廊下に出てから小声で話し始めた。
「青木さん、実を言うと彼は今、横浜スカイビルでの事件の容疑者と考えられているんです。殺された被害者は、N商事に勤務していて、中央管理部の課長ということで、社内の情報を一手に握る人物だったのです。ですから、何らかの情報の取引に関してもめたのではないかと疑っているんです。」
 と、中村は言った。
「しかし、彼は一介の英語教師ですよ。わざわざ人を殺してまで得るべき情報なんてないでしょう。」
「そこが悩みどころなのですが……まあ、私のようなただの警官が出しゃばる所ではないので。詳しいことは、原口警部のほうから、直接彼へ伝えられるでしょう。」
「彼には言わない方がいいんですか。」
 と、青木が聞いた。
「出来れば黙ってもらいたい。私の首も賭かっているのでね。」

 午前6時のことだった。警視庁捜査一課の武井の電話が鳴り響いた。電話を受け取ると、かなり切羽詰ったような中年の男性の声が聞こえた。
「た、大変だ。江戸川の河川敷に、一人の死体が打ち上げられちょる。釣りに来よったら、転がっちょった。」
「わかりました。今すぐそちらへ向かいます。その場から動かないでください。くれぐれもですよ。」


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