十五年越しの殺意(外村駒也)完 ページ:12 「参りましたね、警部。後5日の間に解決しろ、だなんて。部長の言うことには無理がありますよ、全く。」 翌朝、武井は小川に、神田部長に命じられたことについて話した。 小川はそれを聞いて、今にも不満が爆発しそうな勢いであった。 「だいたい、犯人の目星すら立っていないのに解決にはまだ程遠いですよ。目星が立っても、それからアリバイや動機を調べなければなりませんし……」 小川がそこまで言ったとき、武井の電話が鳴り響いた。 「もしもし。ああ、元西君か。」 「警部、今からそちらにお伺いしてもよろしいですか。」 電話の向こうの元西は、だいぶ切羽詰った様子である。 「私は構わないが、一体どうしたんだい。」 「まだ、アリバイについては調べていませんが、主犯に成り得る人を見つけました。可能性はほぼ100%と見て間違いないです。」 「そいつが今川周平だということか。」 「はい、そうなります。恐らく名前を言っても分からないと思うので、そちらに着いてから説明します。」 「だいたい何時くらいになりそうかい。」 「そうですね。今が9時ですから、11時には間違いなくそちらに着く筈です。」 「そうか、一応周囲に気をつけてきてくれ。」 「……」 しかし元西は既に、電話を切ってしまっていた。 「犯人が分かったということですか。」 と、小川が聞いた。 「ああ、どうやらそうらしい。詳しいことは聞いていないがね。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |