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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 警視庁へと戻った二人は、早速3枚の名簿の細部に目を通した。
 3枚の用紙は全て、N商事の顧客リストであった。
「……N商事か。確か初めに殺された松田は、N商事の中央管理部じゃなかったかな。」
 と、武井は聞いた。
「ええ、確かそうだったと思います。まさか大谷もN商事だとは思いませんでしたね。」
「もしかすると、彼も中央管理部といった落ちかも知れないよ。」
「そんなことが有り得ますかね。」
「まあいい。前に元西君が中央管理部の渡嘉敷部長と会ったことがあるらしいから、明日もう一度一緒に行って貰おう。」
 武井はもう一度、名簿に目を通した。
 その中に、栗原将史の名前を、武井は見つけた。
「ガワさん、これはいったいどういうことだと思うかい。」
「どう、って言うのは一体……」
「栗原は、一介の英語教師に過ぎない筈だろう。それが何故、N商事の顧客リストに挙がっているのだい。」
「もしかしたら、これが別荘の利用者名簿かも知れないんじゃないですか。」
「私もそう思うよ。恐らく、何かの訳があって、大谷個人の別荘利用者名簿を会社側の名簿に紛れ込ませたのだろうな。」
「しかし、何の理由があって、栗原は奥多摩の別荘を利用したのか、という疑問が残りますね。」
「それは、行く行く解決していくよ。」
「今回の名簿の複製は、元西さんに送ったほうが良いんでしょうか。」
「そうだな、分かった。後で送ることにしよう。何かしら知っているかもしれないからね。」

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あきゅろす。
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