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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 その日の夜、警視庁に泊まることにした武井と小川は、例によってラーメンを食べながら、テレビをつけてニュースを見ていた。捜査が難航しているとき、捜査本部で寝泊りすることはよくあるらしい。
 そんな時、二人の目に衝撃的なニュースが飛び込んできた。
「……ニュースを続けます。本日午後6時過ぎ、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の河川敷で、男性の遺体が発見されました。男性の遺留品から、被害者は、東京都在住の会社員、大谷清志さん(52)と断定され……」
 武井と小川の二人は絶句した。
 小川の目元がひくひくと痙攣しているのが分かる。
「……被害者は首を強く絞められた跡があり、警察は殺人事件と見て捜査を行っております。」
 そこまで伝え、他のニュースに移ってしまった。
「……犯人にまた、先を越されたな。重要証拠人を消されてしまうとは。」
 と、武井が呟いた。
「明日の朝一番に、大谷の家へ向かいましょう。恐らく証拠は持ち去られていると思いますけど。」
「そうだな。しかし、こうなると元西君も危険かも知れん。証拠をつかんだら殺されかねないな。」
「確かに危ないと思います。ですが、これで確かに中田の件は、別荘を借りたことがある者の犯行だった、と考えられますね。」
 と、小川が無理に元気を出して言った。
「しかし、その証拠品がなければ何にもならない。参ったな。」
 と、武井は頭を抱えた。

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あきゅろす。
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