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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 警視庁へと戻った津野は早速、武井警部に資料を見せ、聞いて来た事について知らせた。
「そうか、彼らの接点はそこにあったのか。」
「しかし、警部。そこに共通項があったとしても、それが殺人の動機となり得たかが微妙です。」
 と、小川が口を挟んだ。
「確かにそうだ。現に、松田が殺された件に関しては、元西君が伝えてくれた通り、15年前に今川愛奈が殺されたのが動機となっている筈だ。だが、これで彼らにつながりがあったことは確かだろう。」
「すると、犯人が血文字で示した、あと一人というのは、清水か栗原ということですか。」
 と、津野が聞いた。
「おそらく、清水は松田が参加するから一緒に参加したんだろう。すると、清水が深くこの件に絡んでいるとは考えにくい。もし残りの一人が清水なら、私たちに証言する前に殺していただろう。」
「しかし、それなら栗原も同じことじゃありませんか。彼は既に殺されかけていますが、結局病院に搬送され、事なきを得ています。つまり、完全に死ぬように仕向けられなかったじゃありませんか。」
 と、小川が聞いた。
「ああ、それもそうだ。しかし、私はここにつながりがあったと見るのが普通だと思うのだがな。」
「もし、あと一人というのが栗原だとしたら、私たちは彼の身の安全を図らなければなりませんが。」
「分かっているよ。とにかく、今の段階では判断できない。津野君は引き続き彼らの共通点を洗ってくれ。より大きな動機が見つかるかも知れない。」
 武井がそう言ったとき、吉岡が戻ってきた。
「だいぶ難しいですね、共犯者探しは。なかなか目星がつけられません。今日の段階では、全体に対して恨みを持っていたような人は見つかりませんでした。」
「そうか。誰か個人に対してでも構わない。最低でも松田殺しに関わっていればいい筈だ。それから近藤夫妻に対してだがな。」
「分かりました。」
 吉岡はそう言って、再び外に出て行った。

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あきゅろす。
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