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十五年越しの殺意(外村駒也)完
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 どれくらい時間が経っただろうか。栗原は病院のベッドに寝かされていた。
「一体何があったのだろうか。俺はどうしてこんなところに寝ているんだ。」
 時計を見ると、既に10時を回っていた。
 しばらくして、病室のドアが開けられた。入ってきたのは、青木と警察官らしい人物だった。
「大丈夫かい、栗原。だいぶ血を流していたが……。」
 と、青木が言った。
「俺はどこに倒れていたんだ。青木が見つけてくれたのか。」
「ああ、まあな。いつもの場所に向かおうとしたら、途中の道端で人が倒れていたんで、助けを呼んだんだが、よくよく見るとそれがお前だったんでね。」
「そうか、ありがとう。ところでこの方は…」
 と、栗原はもう一人のほうに向き直った。
「はじめまして、関内署の中村です。最初に青木さんから連絡を受けたので、今ここにいるのですが、後ほど、まあ明日になると思うのですが、県警の原口警部が伺うと思います。一体どのような状況だったんですか。」
「それがいきなり後頭部を殴られて……、よく覚えていないんです。」
「そうですか。丁度N商事のビルの前だったので。何か心当たりはありませんか。」
 そこまで聞いて、栗原はヒヤッとした。
(N商事だって。確か、殺されていた松田が勤めていた所じゃないか。これは偶然なのか。でも、あいつは、東京の本社のほうだったよな。)
「いいえ、特に心当たりはないです。」
「本当に何も知らないんですね。」
 と、中村巡査は確認するように言った。


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あきゅろす。
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